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第3章 農業と川漁

第6節 川漁と狩猟

1 川漁

(4) その他の漁法
ドジョウキリ
四月下旬から五月にかけて、夜になると明かりを灯し、ドジョウキリが行われた。このころは植え田では田植え前で、マキタ(摘み田)では稲が二寸くらいの時期であった。この時期の中であっても養蚕を手掛ける農家が多かったので、春蚕の三ミンヤスミとなる五月十五二十日ころが最も盛んであった。この時使うドジョウキリは、長さ二寸五分~三寸のドジョウキリ用の針を買い、三尺ほどの割竹に並べてさして作ったものである。明かりは石油であった。きゅうすのロのとれたようなものに、石油を七~八分くらい入れ、これから木綿のボロを出し、蓋(ふた)をして蓋のすきまを泥を塗ってうめる。これを針金でブラ提灯のように棒につけて下げ、これに火をともし、田の畦を歩きながらドジョウをとる。ドジョウは夜はじっとしているのでドジョウキリで叩き突く。バケツやビクを腰に下げ、とったドジョウを入れる。子供が多いが二〇歳くらいまで、夕飯を食べると出かけた。女の人でもやる人がいた。どこの田でドジョウキリをしてもよかったが、畦を大事にしている地主に見つかると、どなられることもあつたという。

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