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第3章 農業と川漁

第2節 水田と稲作

3 稲作の過程

(一)摘み田
追  肥
摘み田の特色の一つは、必ずといえるほど追肥を施すことである。植え田では田を耕すときに元肥を入れ、追肥はしないこともある。これに対して摘み田では種籾に灰や下肥を混ぜて蒔くが、田うないの途中で田に肥料を入れることがないといってもいい。なかには一番うないの前に堆肥を少し入れたという人もいるが、一般的だったとはいえない。
追肥を施すのは二番ゴの前後で、金肥を使うのが普通だった。豆粕・干鰯(ほしか)・魚粉(ぎょふん)・過燐酸(かりんさん)石灰などである。干鰯はタチウスで搗いて粉にし、フルイでふるい、豆粕は豆板といって板状のかたまりになっていたので、削って細かくしてコイツミオケなどに入れて手で田に蒔いた。かつては畑で作った大豆をゆがき、肥料として田に蒔くこともあった。化学肥料が出回るのは植え田になってからで、昭和三十年代以降だった。

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