北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第3章 農業と川漁

第4節 養蚕と桑苗生産

2 養蚕の技術

蚕の病気と鼠害
蚕の罹(かか)る病気にはアタマスキとオシャリというのがある。アタマスキに罹ると頭が透き通ってしまう。オシャリは硬化病で白子になりカチカチに堅くなってしまう。オシャリは繭を作ってからもなり、この繭の糸は取れないものになった。
鼠(ねずみ)の被害はだいぶあった。棚飼の一番上は鼠に狙われ、繭で入れておいても、繭を食い破り蛹だけ食われることもあった。一貫目ほど食われたこともあるという。この鼠害の対策としてタナギに水を置いた家もある。これは、鼠は水を飲みたいから蚕を食うので水を置いてやるのだといっていたという。また、鼠よけとして川島町の白山神社へ掃き立て前にお参りに行き、絵馬を借りて蚕室に吊るしておくと、鼠が出ないといった。絵馬は蚕の終わった後に増やして返していた。
条桑育を木小屋でするようになると、鼠の他にヒキガエルに蚕を食われることがあった。一尺も離れた所からでも舌を伸ばし、スウーと吸い込んでしまう。一度に壮蚕を一五匹も食ったことがあったという。

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