北本市史 民俗編 民俗編一覧

全般 >> 北本市史 >> 民俗編 >> 民俗編一覧

第3章 農業と川漁

第4節 養蚕と桑苗生産

4 桑園の管理

桑園の管理
現在の養蚕地帯では、一反歩(一〇アール)に二〇〇〇~二五〇〇本もの桑を密植し、機械で条桑を刈る方法が採用されはじめているが、北本市域の養蚕>家の現状は、それを採用する程の活力はない。
こうした密植への移行はないが、桑の密度の変化はかってあった。これは大まかなものだが、第二次大戦の前後で変わっており、戦前は一反歩に約一〇〇〇本、戦後は一反歩に約七〇〇本が見当であった。養蚕農家によっても異なるが、この密度を株間・サク間の間隔で示すと、戦前は株間二尺五寸~三尺、サク間は四~五尺であり、戦後は株間三尺程で、サク間が六尺前後となっている。中耕の回数も夏・秋蚕の発展、年間の養蚕回数との関係で変化しているようだが、夏・秋蚕が定着してからは年四回であった。春は三月中旬にまず堆肥(たいひ)、豆粕(まめかす)(豆板を削ったもの)、燐酸(りんさん)などを畝(うね)の窪みに入れておき、四月上旬から中旬にかけて春彼岸前に中耕(ちゅうこう)をする。この時カッパキガマ(草削鎌)で雜草を削り、畝の窪みに寄せていく。その上に畝の土を被せていくので中耕で畝が移動した形になる。春蚕が終ると再び雑草を搔き、中耕(ちゅうこう)して畝の土を被せる。六月末ころには再び肥料を入れ、初秋蚕の始まる八月初旬前に再び中耕する。そして、養蚕が終ると葉が落ちて裸になった枝を上下二か所藁で束ね、十二月初旬に最後の中耕をする。

<< 前のページに戻る