北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第3章 農業と川漁

第5節 労働と休日

2 休日と農耕儀礼

麦のマキアゲ・ノアガリ
麦のマキアゲはアナップサゲともいい、麦蒔きが終るとボタモチを作って祝った。これは各家ごとの行事で、市内の全地区で行われていた。ボタモチは糯米を炊いて饀をつけたもので、これは家の神棚にも供え、また、麦蒔きをイイ(結い)仕事でした場合には、一緒におこなった家にも「マキアゲだよ」といってボタモチを重箱に入れて届けた。丁寧な家ではこの時には、鍬や鎌などの農具をきれいにし、油を塗ったりもしたという。
麦のマキアゲは十一月上旬で、ちょうど十日夜(とうかんや)のころだったので場合によっては十日夜とマキアゲを兼ねて行うこともあった。麦は十日夜までに蒔かないと収量が減るといった伝承もあり、十日夜が麦蒔き終了の目安になり、さらに十日夜にもボタモチを作るのが習わしだったのである。
また、各家の麦蒔きが終ると、摘み田の後のように日を決めてノアガリが出された。この時には何かかわりものを作り、仕事を休むわけである。

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