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第6章 衣・食・住

第1節 衣生活

4 嫁入り

おひろめ
結婚披露は、家によってかなりの差があった。経済的関係や、長男と二、三男の違いがあった。江戸褄を縮緬の重ねに着がえ、お客にひとまわりお酌をする程度で終わる人もいれば、一番着、二番着、三番着と着物を替える人もいた。そのつど、長襦袢と帯も替え、脱いだ着物はえもん掛けに掛けて、お客から見えるところに下げておいた。一枚の着物を着ている時間は何分でもなく、それっきり袖を通すことなく終わる着物もあった。ある人の場食一番着は江戸褄、二番着は黒の縮緬の重ね、三番着、四番着、五番着は縮緬とお召しの重ねだった。
夫の袴をたためない嫁は、嫁として一人前ではないと言われ、客の前で婿の脱いだ袴をたたんで見せなければならなかった。袴のたたみ方はいくつかあるが、なかにはたためない嫁もいた。そのようなときは、あらかじめたためる人をたのんでおいて、たたんでもらった。娘は「袴がたためないと恥ずかしいから」と、嫁入り前にはよく練習した。

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