北本市史 民俗編 民俗編一覧

全般 >> 北本市史 >> 民俗編 >> 民俗編一覧

第6章 衣・食・住

第2節 食生活

3 ハレの日の食物


餅をつく機会としては、正月・春ギトウ(祈祷)・三月節供・五月節供・土用・お日待(祭礼)・子供の初誕生などがある。必ずしもモチ(糯)米をつくものばかりではなく、また中にアンなどを混ぜるものもある。
正月の餅は、暮れに何軒か共同で一〜二俵くらいつくが、ワカモチといって、元旦につく家もあった。糯米をついた餅以外に、粟餅・ヒキ餅・モロコシ餅などもつく。粟餅は糯粟に糯米を混ぜてついたもので、硬くなり易い。これも焼いて食べたり、雑煮に入れたりした。ヒキ餅は、ウルチ(粳)のくず米を粉にひいてこね、それをついたもので、オシンコモチ、コナモチなどともいう。小さい子供は、のどにつまらせないで食べられるといったが、うまくないので嫌がった。モロコシ餅やキビ餅は、早い時期にやめてしまったところもある。間食用のアラレやカキモチもついておく。正月の餅つきは、二十九日のクンチモチ(クロウモチ)と三十一日のイチヤモチを嫌がる。カンザルといって、寒の間の申の日にはつくものではないという
荒井では、三月十五日に須賀神社で豊作祈願の春祈禱があり、アンを入れた草餅を作って親戚に配った。この餅を食べると腹の虫下しになるといった。三月節供には、紅白の餅と草餅をひし形に切って重ねたものにする。これに対して、五月節供はカシワ(柏)の葉で包んだ柏餅や草餅・白い餅を作る。草餅は大福のようにアンを入れたものや、キナコをつけて食べたりした。土用には暑さ負けをしないように、餅をついたりウナギを食べた。お日待ちにも餅をついて親戚に配る。
子供が初めての誕生日までに歩けば、その子に一升餅を背負わせる。歩かないと赤飯を作る。

<< 前のページに戻る