北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第6章 衣・食・住

第2節 食生活

3 ハレの日の食物

ボタモチ
ボタモチは、糯米と粳米を半々くらいにして炊き、半ばついたものであるが、これも春秋の彼岸・摘み田のまき上げ・植え田の植え上げ・盆・月見・麦のまき上げ・トウカンヤ・見合いの席など、さまざまな機会に作られていた。特に稲・麦の播種時など、農耕に係わる機会に作られている点が注目される。彼岸には、入り・中日・走り口(明け)の三日ともボタモチを作る家や中日だけ作ることもある。麦まきの後のボタモチは、アナップサギのボタモチあるいはマキキリのボタモチなどといった。トウカンヤにはワラ鉄砲を作って地面を叩くが、このとき「トウカンヤ、トウカンヤ、十日のボタモチ生でもいい」などとはやしながら叩く。こうするとモグラよけになるとか、大根が驚いて上に伸び上がるという。また、日本における麦の伝来と結び付き、犬の供養のためにボタモチを作るなどともいう(年中行事の項参照)。
粟のボタモチもあり、これは米と違って硬く炊くのが難しいため、粟ボタモチができるようになれば娘も嫁にいけるなどといった。

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