北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第6章 衣・食・住

第3節 住居

1 屋敷取り

二 ワ(庭)
母屋の南側には、広いニワ(庭)がある。母屋裏のセド二ワに対しマエニワと区別して呼ぶ家もある。農作物の干庭として使用されていた。
収穫期には庭一面にムシロが敷かれ、しばしば庭の広さはこのムシロの枚数で表現された。麦の耕作面積と関係していて、普通四〇〜六〇枚、中には百枚を越す家もあった。ちなみに、ムシロ二枚が一坪にあたる。
大麦の場合はムシロを敷かず、直接土の上に穂切りした麦をひろげ、この上を馬に石のローラーを引いて回らせて脱穀した。従って、常時、庭は固めて平らにしておき、草はもちろん、小石やごみくず一つないように心掛けられていた。雨後の柔らかい庭に子供など下駄で入ろうものなら大こごとをくった。冬は藁を敷いて霜柱が立たないように気をつけた。しかし、今日では、脱穀機や乾燥機が使われるようになり、ニワの持っていた意味はすっかり失われてしまった。植え込みが庭にどんどん広がってきているし、芝を植えたり、飛び石を置く家が多い。

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