北本市史 民俗編 民俗編一覧
第6章 衣・食・住
第3節 住居
3 付属屋
その他の付属屋写真38 土蔵(高尾)
母屋の右手の後ろ辺りには、物置、土蔵などがある。物置はたいてい土間で日常あまり使わない古くなったものなどが雑然とほうりこまれている。風、ほこりは舞い込むし、時には雨も吹き込む。土蔵には、床がはってあり、大事な物を保管する。箪笥や長持ち、人寄せ(客を呼ぶ)のさいの汁器類・御膳などである。
家畜小屋は、母屋の東側辺りが多い。牛の踏み肥は貴重であったから、牛小屋は肥料を運び出すに便のよい堆肥小屋に近い埸所に作られることが多い。その他、鶏、豚、やぎ、うさぎなどの小屋があった。
屋敷や屋敷続きの畑の隅にムロ・モロ(室)が掘ってあった。台地の赤土(関東ローム層)に九尺くらいの竪穴を掘り、そこから一〜二間横穴を掘ったものである。地表の口は、板やむしろで蓋をした。室の中は年中温度の変化が少なかったから、さつま、さつまの種芋、しょうがなどを貯蔵した。