北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第6章 衣・食・住

第3節 住居

5 建築儀礼

ジマツリ(地祭り)
地鎮祭ともいう。母屋の建つ場所の整地が終わると、良い日、例えば大安・友引きを選び地祭りが行われる。新しい家のほぼ真ん中に、笹竹四本を一辺一間余の正方形に立て、コゼナワ(一番細い藁縄)を二重に回してシメ(注連)を張る。お供え物を後ろのコゼナワ際に供える。お供え物は、「ミキ、ミケくさぐさの物」という。御神酒、センマイ(洗米)、塩。それに「海の物」と「山の物」。尾頭付きの魚、昆布、わかめなど。山の物は、一本の木に例えるのだろうか。根の物(大根、ごぼうなど)、葉の物(ほうれんそう、小松菜など)、実の物(りんご、みかんなど)などである。
お供え物を飾り終えると、神官の先導で儀式が始まる。神官が、祓いをして神を呼ぶノリト(祝詞)をあげる。うぶすなの神々に、工事中けがのないように、またこの家が栄えるようにと願いをたてる。祝詞が終わると、建物の四隅に酒、洗米、塩がまかれる。次いで、玉串奉奠(たまぐしほうてん)を行う。建て主に始まり、棟梁 鳶職の頭、お客さん、家族の順に続く。そして、「幾久しくめでたく地鎮祭が終了いたしました」と、神主の音頭で乾杯をして終わる。オハライと玉串は建物の中心に埋める。
なお、公共機関の建物や工場などの工事に先立ち「鍬入れ」という儀式が今日行われているが、従来、市域にはなかったことだという。

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