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第7章 人の一生

第1節 産育

初節供
初節供は、初めて迎える女の子の三月の節供、男の子の五月節供をいう。
初節供には、親元や組合の人から雛人形や武者絵幟、鯉幟、武者人形などが贈られた。
三月三日の三月節供には、女の子のばあいには、雛人形を床の間に飾る。この雛人形は、嫁が嫁ぐときに送り雛といって実家から持ってきたものや、初節供のとき実家から子どものお祝いに贈られたものがあり、後者は前者より大きい雛である。初節供の日は、組合の人たちもお祝いに呼ばれるので、お祝い金を包んでもっていった。女の子の家では、お返しとして紅白の菱形餅や鳥の子餅などを親戚や組合の人に配った。雛人形は、むかしからのものも大切にとっておく家もある。

写真7 三月節供

写真8 五月節供

写真9 五月節供の外幟(中丸)


写真10 五月節供 座敷飾り

男の子の節供は五月五日で、「菖蒲の節供」といわれ、中座敷もしくは上座敷に、鯉幟や座敷幟を立てる。男の子が生まれると、嫁の実家から前もって五月人形を贈ってくるので、これを飾る。初節供の時には、カシワッパ(柏の葉)を買ってきて柏餅を作り、親類や隣組に配った。人形をくれた家には、柏餅を節供の二、三日前に届けた。五月人形を贈るのは、むかしは、嫁の実家ぐらいで、仲人や組合・叔父・叔母などといった人たちは、紙製の鯉幟や三色の吹流しなどを贈った。荒井地区では、ショウブ(菖蒲)とヨモギ(蓬)を花瓶に挿すだけの家や、麦藁屋根の廂(ひさし)に三か所ぐらい挿す家もある。また、五月五日の日に菖蒲湯をたてて入る。
男の子の五月節供には、ソウリョウ(総領)のばあいは、鍾馗様(しょうきさま)・神功皇后に武内宿禰(たけのうちのすくね)などが描かれた布製の幟や、五色の吹流しが、親元から贈られた。贈られたお礼には、柏餅を家で作って持って行ったという。家の中に飾るのを座敷幟といい、外幟より小さいものである。最近では、鯉幟は多く見られるが外幟は見られなくなった。

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