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第7章 人の一生

第1節 産育

育児の俗信
子が生まれると、病気や怪我をしないで、すくすくと育って欲しいと願うのは、何時の世の親も同じである。なかには、異常出産とされていた俗信もあった。たとえば、一軒の家で双子を出産すると良くないといわれ、オチコロビ(落ち転び)、カチマケ(勝ち負け)といって子どもに強い弱いの別ができるといわれていた。また、同じ年に一軒の家で二組の夫婦が出産したばあいも、オチコロビといわれていた。双子を出産すると、一旦は一人を捨て子の真似をし、人に頼んでその子を拾ってきてもらい一緒に育てたという。
夫婦のどちらかが四〇歳のときに生まれた子は、「シジュウ二ノフタッコ」といわれ、あまり役に立たないから捨てるもんだとして、箕の中に酒を一本付けて辻にウッチャッテ置けといわれたものであった。予め隣の人に頼んでおいて、直ぐに拾ってもらったもんだという。
身体の弱いアカッコには、二つの名を付けることがあるという。
生まれたばかりの子には、ホウズキの根を煎じて飲ませると虫持ちにならないという。また、夜泣きは、洗濯物を夜露にあてるとなおるといわれた。
夜泣き、カンの虫を治すには、鴻巣市箕田の八幡様にお参りをして、木の札に「虫封じ」と書かれたものをいただいてきて、子が寝ている座敷の柱に貼っておくと良いという。
乳の出ないときは、粳(うるち)の米を冷やして、摺鉢ですりつぶして粉にして、塩と砂糖を少し入れ、それらを煮て乳の代わりに飲ませたという。子どもは太れず一目でそれとわかった。そこで、乳が出ないときは、乳が沢山出る人からもらったりもした。乳が出ない嫁さんは、姑たちから米代やミルク代がかかるから「身上殺し」といわれたという。
男の子は、三歳までは、丸坊主にすることをドンリュウコといい、子育ての神様である群馬県太田市の呑龍様の御加護を願って髪を坊主にするのだという。

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