北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第8章 信仰

第3節 家で祭る神仏

2 屋内神

カマジメ
市内の従来からの家々には、神棚、床の間、お勝手、井戸等々実に多数の神々が祭られている。これらのことを、具体的に述べてみようと思う。
十二月になると、様々な正月を迎える行事が行われるが、その一つに力マジメがある。カマジメは、各家庭に祭られる神々が新年を迎える準備として新しく伊勢皇大神宮の札・へイ(幣)・シメ (注連)・ハライ(祓)・御守り等を神社からいただく行事である。ところで、このときいただく幣の数は、その家で祭られる神々の数とほぼ一致すると考えて良い。従って、以下に力マジメの行事を説明しながら、同時に屋内に祭られる神々を説明していくことにする。
十二月の半ばころから、幣などが配られ始められる。現在、石戸宿(一部を除く)は桶川市川田谷の諏訪神社、その他のほぼ十七号バイパスから西側は高尾の氷川社が、東側は、桶川市加納の天神社が受け持っている。御幣などの受け取り方は、直接個人で神社に行く場合と、神社の神官が日を決めて地域の集会所等に出向いたとき、個人で直接そこへ行くか、地区役員にまとめて受け取ってきてもらう場合がある。なお、過去一年の内に葬儀を出した家は、「ブクがかかった」と言い、翌年は正月のカマジメは受けない。
表5 各家に配られる幣などの数
家番号大麻シメ
111921
211331
31211
411831
511221
612031
711621
812231
911421
1011221
1111541
1211311
1311431
141721
151521
1611011
171911
181221
191921
201631
211941
2211521
231511
2411521
2511321
2611231
2711221
2811531
2911521
3011431
3111521
3211541
331911
334027733

写真34 シメ・ハライ

伊勢皇大神宮のお札はタイマ(大麻)といい、年中神棚に祭られる。幣は、長さ二〇センチくらいのオンナヨシの細い棒に白紙を切ってはさんだもので、市内で配られる幣の形には二種類(新幣=神幣と旧幣=仏幣)あり、家により異なる。注連は、ハッチョウジメ(八丁注連)のことで、八丁注連を下げる縄は、各家庭で新藁で編んだり買ってくる。御守りは、カドマモリ・カドモリといい、八X三センチくらいの小さな紙のお札で、母屋の入口に糊着けする。これは、地区により、受ける場合と受けない場合がある。祓は、ミソカッパライ(晦日祓)とネンジュウハライ(年中祓)がある。晦日祓は大晦日に過去一年間の災厄などを祓い、年中祓はこれからの一年間に身をきよめる必要のあるときなどに使う。
ここに載せた表は、高尾の宮岡地区のもので、高尾氷川神社の「竈注連名帳」より、記載させていただいた。現住宮岡地区の総戸数は五二戸で、その内三三戸が高尾の氷川神社からお札を受けているわけである。表によれば、各家は屋内神として、平均一戸当たり一二、二の神を祭っていることになる。市内では、祭られる神が多い地区の方である。ただし、この数字は、大きな御幣で幾つかの神を代表したり、畑や山林なとに御幣をたてる場合もあるようなので、あくまで概数である。なお、宫岡地区は従来からお守りを受けない地区である。

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