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第9章 年中行事

第1節 正月行事

5 小正月

アズキガユ
石戸宿では、十五日朝小豆粥を作る。これも年男の仕事であるが、戦争で男が出てからは女もやるようになった。粥には、前日飾った繭玉団子を外したのも入れる。塩で味つけして、神様にあげ皆でいただく。炊き上がったら、三〇センチぐらいの粥搔き棒の先に繭玉団子を挟んだ棒で、釜の中の粥を搔き回す。
下石戸上では、小正月は女の正月とか、女の年とりといわれている。十四日に年越しをやる。十二月三十一日と同様に、神社から受けてきたオハライでミソカッパライをした。一月十五日にはアズキガユを作る。十五日に作るので、十五日ガユとも呼ぶ。カユには小豆と米のほかに、十四日に作った団子をいれる。十五日に正月のお札やお飾りを下げ、この日の小豆粥を煮るのに、竈で燃やす。オタキアゲ(お焚き上げ)ともいう。また、この日は正月に神棚に進ぜたお灯明や全ての供物を下げる日である。これをタナサガシ(棚探し)といった。タナサガシの後、神様に供えるのに使ったザッキ(雜器)を洗うが、この水はナガムシ(長虫、蛇のこと)が家に入らぬようにと、家の周りに撤いた。ここまでが、正月の年男の仕事である。
中丸では十五日に小豆粥を作る。前日飾った団子を下げて、小豆粥のなかに入れる。神様には神の鉢に入れてお供えするが、後で悪い虫が入らないように、神の鉢を洗った水を家の周りに撒く。
北本宿では、十五日朝、年神様に上げておいた大きな繭玉団子を入れて、小豆粥を作る。小豆粥の中にうどんをいれて食べる家もある。この日までは、汁かけ飯を食べてはいけないといった。小豆粥を食べるのに、ニワトコの木を削って作った箸を使うと、豊作になるといった。

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