北本の神社

社会3 >> 北本の神社

【序】

“村の鎮守の神様の 今日は楽しいお祭日 ドンドンヒャララ ドンヒャララ………"。かつては、市内の神社もこの小学唱歌に歌われたように、祭礼には善男善女の参詣者で終日賑わいました。
神社は地域の氏子の信仰の対象として魂の寄り集まる所であり、心の拠り所として精神生活の中心的役割を果たしてきました。また、神社の境内の建造物は申すに及ばず、神木はもとよリー本一草にいたるまで信仰上の所産であり、神社に奉納される様々の神事とともに、神社の沿革や人々の信仰心の推移を物語る文化史的・学術的に価値の高い文化財であり、神社は優れた有形・無形の文化財の宝庫でありました。
このような神社が、近年の都市化に伴う村落共同体の解体や生活様式の変化、さらには価値観の変容などにより、ややもすると住民の心から離れ、往時の地域社会における統合的機能を失おうとしています。そこで、教育委員会としては、神社の沿革や現状の全貌を的確に把握し、広く市民に神社の文化財としての価値を理解し、愛護の精神を涵養して頂くとともに、今後の文化財保護行政推進上の参考資料とするため、文化財保護審議委員会に神社の調査をお願いいたしました。
文化財保護審議委員会では、 5人の委員さんがそれぞれ要職にあって非常に多忙にもかかわらず、伊藤委員長さんを中心に寸暇を惜しんで市内全域の神社を悉皆調査され、内容の充実した立派な本報告書を編さんされました。2年間にわたる審議委員さんのご労苦に心からお礼申しあげるとともに、調査に積極的にご協力くださった神官や氏子の皆さんと、仏像に続いて本調査のご指導に当たられた県立博物館学芸員の林宏一氏に深く感謝申しあげ、合わせて本書が神社の再認識と地域社会の歴史の理解に活用されることを念願いたします。
  昭和53年2月3日

北本市教育委員会 教育長 高橋英五


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