雑木林のあるまち くらし

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2.年中行事

年中行事のなかには今は失われてしまった慣習や、簡略化されたものが多い。信仰と深く結び付いたお日待ちや各種の講は写真として残りにくかった。本書ではその全てを取り上げることはできなかったが、お年寄りの話を聞くと、北本の農業の中心であった麦に関する行事の多かったことがわかる。十日夜(とうかんや)は麦の種まきを終えたお祝いの意味もあった。
かつて諸人(もろびと)を結び付けていた民俗(みんぞく)芸能の中には、後継者(こうけいしゃ)不足のため伝統芸能が途絶(とだ)えようとしているものもある。逆に「ふるさとに新しい伝統を作ろう」という動きもある。


真福寺御札奉安所 本町 (昭和60年ころ) 

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マユダマダンゴ (昭和57年) 

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マユダマダンゴは小正月の行事である。コナラや欅(けやき)などの枝に粳米(うるちまい)の粉で作ったダンゴを刺す。ダンゴの形は丸いもの、真ん中のくびれたもの、里芋型(さといもがた)のものなどいろいろである。春早く芽ぶき、多くの小枝をもつ木に人々は豊かさをイメージしたのであろう。


須賀神社節分祭 荒井(昭和50年ころ) 

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家の前の七夕かざり 

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北本では七夕(たなばた)の前に川辺のマコモを刈(か)って二頭の馬を作る。そして手打ちうどんや小麦まんじゅう、短冊(たんざく)を下げたササをかざる。



十五夜 西高尾 (昭和50年ころ) 

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十五夜には丸いものを15個そなえる。小麦まんじゅう・ボタモチ・里芋(さといも)などを供える。



十日夜にはボタモチを作る。子どもたちは仲間どおしでワラデッポウを作り、村の家々のまわりの地面をたたいて回った。ワラデッポウはイモガラを縄でまいて作った。これは畑のモグラをおいはらうためだといい、この日どこのうちでも子どもたちのためにお菓子を用意していた。


十日夜のモグラ打ち 荒井 (昭和50年ころ) 

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十日夜のボタモチ 深井 (昭和50年ころ) 

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