一 はじめに
本書を、子どもとともに利用される父母の皆様に対し、この本を編集したねらい、それぞれの話題を取り上げた意図などをご説明したいと思います。
北本市では、昭和五十三年度から市史編さん事業を開始し、今までに資料編四冊、民族編一冊、調査報告書一〇冊を刊行し、皆様の利用に供してまいりました。この間、多数の市民の方々や、教育関係者から、子どもを対象としたやさしく親しみやすい伝説やむかしの話をまとめて刊行してほしいとの要望が高まってきました。
時あたかも、ふるさと創生事業の実施をはじめ、地域文化の堀り起こしや、身の回りの文化の見直しの気運が全国的に高まっておりました。そこで市史編さん委員会では、そうした市民の声や全国的な動きに応えるとともに、今日までの市史編集が、どちらかといえば客観的史実の究明を主な目的とし、やや難解とされる点がありましたので、子どもたちや市民の皆様に、ふるさと北本について理解と関心を深めていただき、郷土北本に誇りと愛情をもっていただこうと、「北本のむかしばなし」の刊行を計画いたしました。幸い、市当局や市議会のご理解が得られ、この本の刊行を市史編さん事業の一環として実施じっしすることにいたしました。以後、市内の先生方の協力を得て執筆を進め、ここに完成をみて、皆様のお手元にお届けすることができました。
本書を子どもたちと一緒に読んでいただき、ふるさと北本について語り合い、その理解を一層深めるとともに、明るい家庭づくりに役立てていただければ幸いです。
内容は、市域に伝わる伝説や昔話を中心に、歴史や昔のようすを伝える話、むかしの暮らしを伝える話、それに今では忘れ去られつつある郷土のことばを、子どもの遊びやわらべ歌などを通して紹介してみました。
本文中各所に出てくるむかしの国名や地名には、()書きで対応する現在の県名・地名を示しました。しかし、これは必ずしも完全 に一致するものではありません。およその位置を示したものと考えていただきたいと思います。
末尾に、参考として「北本の主な史跡・文化財」と「北本の歴史年表 」を付しておきました。社会科の学習や本書を利用する時の手引きとしてご活用いただきたいと思います。
以下、この本を利用されるにあたって、参考となる点を章ごとに述べておきます。