五 子どもの遊びとくらし
「子どもの遊びとわらべ歌」。現在の子どもたちは、テレビやファミコンゲームなどに夢中で屋外で仲間と一緒に飛び回ったり、遊ぶことが少ないと言われます。それが社会性の欠如にもつながるのではないか、との議論を耳にすることもあります。確かに、かつては子どもの遊びといえば屋内・屋外を問わず仲間と一緒に遊ぶのが当たり前でした。そして遊びの内容も、古くから伝承されてきたものが大半をしめていました。遊びの種類は屋内、屋外という遊びの場所による違いや、正月の羽根つきや双六のように特定の祭りや行事のときに行なう遊び、かくれんぼやたが回しのような普段の日の遊びという分類もできます。特定の日というのでなくても、
伝承的な遊びは正月時分の遊び、夏の遊びというように、年間を通しておおむねその時期が決まっており、年中行事と同様に時期時期に応じて繰り返すことが多いものでした。兵隊ごっこやこま回しのような男の子の遊び、ままごとやあやとりのような女の子の遊びという性別による違いもありました。
女の子の遊びの中には、ナンゴ(お手玉)やまりつきのように、歌を歌いながら、それに合わせて投げあげて受けたり、まりをつく回数を競ったりするものが見られます。これらの遊戯に使われる歌は、だいたい全国共通の歌詞とメロディであることが多いのですが、それでも子細に見るとその土地土地で変化している部分もあります。ここには北本で歌われたお手玉の歌とまりつき歌を紹介しました。歌は時代と場所によって変化しています。皆さんの知っている歌は、どのようなものでしょうか。
また、こま回し、メンコなどの伝承的な遊びのいくつかを紹介しました。遊びの機会をとらえて、「私たちはこんな遊びをしたのよ」と話題にしてみてはいかがでしょうか。
「北本ことば『いろはカルタ』」は、今では使用する人も少なく、お年寄りだけに伝承されていることばをいかして、むかしの子どもの生活を「いろはカルタ」にしてみました。土地独特のことばのほか、なまってわかりにくくなったものもあります。作者は北本に生まれ育った岡田千恵子さん(昭和三年生まれ、西高尾在住)です。共通語に直したものと比べて、かつての方言の雰囲気を味わってください。