北本の動植物誌 本編 北本市の直翅系昆虫

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北本市の直翅系昆虫
内田 正吉
1.はじめに
筆者は,1990年から1993年にかけての4年間にわたり,北本市における直翅系昆虫の分布調査を実施した。1990年から1992年の3年間は,合同調査の他に各月1~2回の単独調査をおこなった。1993年は,3年間で調査のゆきとどかなかった種類を対象に,補足調査をおこなった。調査地域は,北本市内でも自然が豊富に残っている石戸宿や宮岡など大宮台地の谷津を中心とした。調査方法は,見つけ採り・スイープなどのほか,鳴き声による確認もおこなった。この調査において生息を確認することのできた直翅系昆虫は,5目16科62種である。
北本市における直翅系昆虫の記録は,古くは,明治45年に編纂された石戸村誌に「いなご、ばった、きりぎりす、やぶきり、くつわむし、こほろぎ、かまきり、けら、まつむし、すずむし」の10種が記録されている。最近では,日本野鳥の会埼玉県支部(1984)が,石戸宿からカマキリ目4種と直翅目19種を記録している。市川(1985)は,同じく石戸宿からトノサマバッタを記録している。また,筆者はこの調査の過程で得たシブイロ力ヤキリモドキやエゾスズなど,分布上特筆すべきものについて,既に報告している(内田,1991b,1992b )。
本報告書作成にあたり,故市川和夫・牧林功・南部敏明・原勝司・碓井徹・桑原幸夫の各氏をはじめ,各調査員の皆様からは御指導並びに貴重な情報や標本を賜った。宮内の原島紋太郎氏・石戸宿の横田善一郎氏からは,ムロを提供してくださり,カマドウマの調査にご協力いただいた。市内在住の小堀文彦氏並びに加藤靖治氏からは,貴重な情報や標本を提供していただいた。また,大阪の市川顕彦氏にはアリツカコオロギを見ていただき,アドバイスをいただいだ。以上の皆様並びに,この調査の機会を与えてくださり,調査をおこなう上で種々の御配慮をくださった市史編さん室の三宮幸雄室長はじめ編さん室職員の皆様に厚くお礼申し上げます。

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