北本の動植物誌 本編 北本市の水生昆虫類

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北本市の水生昆虫類
大熊光治

1.はじめに
北本市は,鴻巣市・桶川市・吉見町・川島町の2市2町に囲まれている。東部は洪積世の火山灰台地と沖積低地からなり,池沼が散在し,東端の鴻巣市との境に赤堀川がある。西部は洪積台地とこれを刻む浸食谷,沖積世の泥質堆積物および砂質泥堆積物からなる。宮岡・石戸宿には湧水がある。湧水は小川となって,荒川に注いでいる。西端の吉見町との境には荒川がある。
埼玉昆虫談話会は,石戸宿の旧農事試験場及びその周辺の昆虫類について調査し,北本市石戸宿の昆虫類(1986)を報告している。その中に,ゲンゴロウ科・ガムシ科などの水生昆虫類が報告されている。著者・市川和夫は市史編さんの一環として北本市に生息する動物について現地調査及び聞き取り調査を行い,北本市史(1990)の中に,北本の動物を報告している。林・碓井は北本市石戸宿の半翅類相(1991)を報告している。その後も,石戸宿の斜面林・湿地・湧水などの良好な自然環境に生息する昆虫相について,埼玉昆虫談話会によって調査が進められ,その成果を寄せ蛾記に報告している。
北本市には赤堀川・荒川などの河川,蓮沼・神社の池沼,湧水およびそれに続く小川などのさまざまな水系がある。これらの水系に生息する水生昆虫について調査した。各調査地点とも,水生昆虫の年間の消長や生活を考慮し,30~40分間調査した。
(1)河川の調査
水量の多い夏季は河岸の水草およびその間を丸網を使用して調査した。冬季は水量はきわめて少なくなるので,瀬や渕を川虫取り用のすくい網(網目の大きさ2mm,20cmX20cm)で採集した。
(2)池沼の調査
水草の生えている間や水面上に生育する水草の下などを丸網ですくうようにして採集した。併せて,岸辺の底生動物は川虫取り用のすくい網で採集した。
(3)湧水・小川の調査
砂底や泥質底の土中を小型マンノーで攪拌し,その後方にすくい網を置いて流下する水生昆虫を採集した。
採集した水生昆虫は70%エチルアルコールと10%ホルマリンを1:1の固定液で固定し,種名を同定した。
なお,カワゲラ目オナシカワゲラ科の分類について,琵琶湖博物館開設準備室の内田臣一氏のご協力を得た。ここに記し,厚くお礼申し上げる。

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