北本の動植物誌 本編 北本市の哺乳類

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北本市の哺乳類
斎藤貴
1.はじめに
埼玉県に生息する哺乳類は約50種が知られている(鈴木・1978).その多くは自然環境の豊かな秩父山地に生息し,平野部,特に市街化した地域に生息する種は少ない.哺乳類の調査についても,秩父山地を中心とした地域では比較的進んでいるものの,平野部における調査はほとんど行われていないのが現状である.
しかし,最近になって荒川の源流域から平野部までの流域を対象とした総合調査が行われ,大きな成果を上げた(埼玉県・1987).さらに,県東部を流れる中川の源流部から東京都境まで,中川流域の全市町村を対象にした総合調査も行われた(埼玉県・1993).また,県内の市町村では史誌の発刊にともない,わずかながら哺乳類相の調査も行われるようになってきている.このような中で哺乳類に関心を持つ県民も増えつつあり,その方々による情報で平野部の哺乳類相も少しずつ現状を把握できるようになってきている.今回,北本市自然委託調査が計画され,著者は北本市の全域を対象に現地調査する機会を得た.北本市は近年急速に都市化が進み貴重な自然が消失しつつある地域である.しかし,一部には石戸宿を始め良好な自然環境を保った地域もあり,キツネの生息が確認されている.キツネは平野部では食物連鎖の頂点に位置する動物で,荒川以東の埼玉県では,北本市,桶川市,上尾市,栗橋町の4市町で生息が確認されているにすぎない(北本市・1990,埼玉県・1984,桶川市・1987,上尾市・1990,埼玉県・1993)・そこで,市民の方々がキツネを始めとした哺乳類に関心を持ち,今後も生息地を含めた自然力ヾ保たれるように期待したい.
なお,この報告書をまとめるにあたり,北本市自然委託調査を組織し筆者に調査の機会を与え,種々の便宜を計って下さった北本市市史編さん室を始めとする関係者の方々,市川和夫北本市自然委託調査調査員代表(故人)を始めとする調査員の方々,哺乳類の情報をご教示下さった地域の方々に心からお礼申し上げる.

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