からから揺れき 水の都

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水の都

下駄の音


下駄の音懐かしみつつ夕暮れの坂を下りて露天の風呂へ

ほの暗き山の出で湯に隣り合ふひと同郷と知りて語らふ

温泉の効能書きの眼にとまる逝きたる母の病もありき

数ふれば片手ほどなり亡き母と温泉巡りし旅の稀なる

母在さば湯治の宿に泊まりゐて手足揉みたし心ゆくまで

竹杖を頼みに上る大手門紅葉夕日に透けてくれなゐ

廉太郎の像に紅葉の散りかかる「荒城の月」生まれし城址

眼(まなこ)とぢ四方に響ける音おもふ太鼓櫓の文字に触れつつ

[音声でお聴きになれます]

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