北本の植物

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北本市教育委員会が北本市郷土植物研究会に市内の植物の調査を委嘱して5年になります。この間、研究会は調査範囲をひろげ、市内外、比企、大里、秩父郡、その他県外にまで足を延ばして調べて参りました。
さて、生物はすべて過去、現在の自然的条件、人為的条件の中に適応して現在に生きています。一木一草といえども、他の生物、気候、土地、人間の生活、文化などとの関連において現在の姿があると思います。特に人間が生活している所では、人間との関係が深くなります。この意味からいえば、路傍の雑草も一つの文化財的側面を持っていると思います。逆にいえば、一つの植物が生きている状態は、過去、現在の自然的、人為的条件を解明しているといえるわけであります。
研究会が北本の植物を調査するに当り、市内のみならず広い範囲の中で調査を進めましたことは、市内の植物生存の因果関係をより的確にする為に意義がありました。このようにして資料を作成していることは、いろいろな意味づけができますが、文化財調査の一環としてもとらえられる貴重なものでありまして、その資料の活用が考えられるものであります。
今迄の調査資料は毎年の文化祭に展示の上、保存したり、報告書(未公開)として出されておりましたが、今回その一部を公開することになりましたのが、本報告書であります。本報告書が多方面にわたり活用され、文化財保護や植物研究に寄与することを切望致します。
最後に、郷土植物研究会の5年間にわたる植物の調査・研究の御苦労に感謝申しあげると共に、今後の一層のご活躍とご発展を期待してやみません。
 昭和51年2月3日
  北本市教育委員会 教育長  高橋英五

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