北本の動植物誌 本編 北本市の蛾類
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北本市の蛾類
市川和夫・萩原 昇
はじめに
埼玉県北本市の蛾類(鱗翅類)に関する調査は,埼玉昆虫談話会が石戸宿の農業試験場跡地を1985年の4月〜10月にかけて,昼夜7回の定点採集調査をしたのが初めてである.1985年以降,現在まで報告者をはじめとする埼玉昆虫談話会の多くの会員により採集調査が行われ,その結果31科455種の生息が確認できた.この数は,埼玉県の山間部を除いて,台地や平地では今のところ最も多い記録である.
埼玉県の平野部の調査はあまり進んでおらず,市川による1986年の戸田市道満付近の蛾が158種,萩原・江村 薫による1984〜1987年の久喜市の蛾241種,萩原による1988年春日部市の蛾272種の記録が主なものである.また,丘陵部の記録としては,市川による1983年の所沢市三ヶ島の蛾262種,市川・井上 寛の1989年の入間市加治丘陵の蛾625種の記録などがある.
455種の各科ごとの種類数は次表の通りである.
表1.蛾類一覧表
各科の占める割合を大きい順にあげるとヤガ科35.3%, メイガ科20.1%,シャクガ科17.4%で,この3科を合わせた種類数は全体の「72.8%」を占める.第4位はハマキガ科で5.7%,次はヒトリガ科3.1%,シャチホコガ科2.9%となる.
蛾類による環境評価の一つとして用いられている『GSL指数(シャクガ指数)』は『47.7』となり,主な調査地とした北本市石戸宿付近は『樹木の多いかなり良好な自然環境』を示す.
ことに,石戸宿,高尾など市の西部地域は,谷地が複雑に入り込み低湿草地と斜面林が現存し,都市近郊では稀にみる良好な自然と認められ,大宮台地における最も優れた自然環境といえる.
市川和夫・萩原 昇
はじめに
埼玉県北本市の蛾類(鱗翅類)に関する調査は,埼玉昆虫談話会が石戸宿の農業試験場跡地を1985年の4月〜10月にかけて,昼夜7回の定点採集調査をしたのが初めてである.1985年以降,現在まで報告者をはじめとする埼玉昆虫談話会の多くの会員により採集調査が行われ,その結果31科455種の生息が確認できた.この数は,埼玉県の山間部を除いて,台地や平地では今のところ最も多い記録である.
埼玉県の平野部の調査はあまり進んでおらず,市川による1986年の戸田市道満付近の蛾が158種,萩原・江村 薫による1984〜1987年の久喜市の蛾241種,萩原による1988年春日部市の蛾272種の記録が主なものである.また,丘陵部の記録としては,市川による1983年の所沢市三ヶ島の蛾262種,市川・井上 寛の1989年の入間市加治丘陵の蛾625種の記録などがある.
455種の各科ごとの種類数は次表の通りである.
表1.蛾類一覧表
科名 | 種数 | 科名 | 種数 | 科名 | 種数 |
---|---|---|---|---|---|
マガリガ科 | 2 | マドガ科 | 2 | ヤママユガ科 | 5 |
ボクトウガ科 | 2 | メイガ科 | 91 | スズメガ科 | 11 |
ハマキガ科 | 26 | トリバガ科 | 1 | シャチホコガ科 | 13 |
ミノガ科 | 1 | カギバガ科 | 5 | ドクガ科 | 8 |
ヒロズコガ科 | 2 | トガリバガ科 | 4 | ヒトリガ科 | 14 |
スガ科 | 1 | シャクガ科 | 79 | コブガ科 | 3 |
スカシバ科 | 3 | ツバメガ科 | 1 | カノコガ科 | 1 |
マルハキバガ科 | 1 | フタオガ料 | 1 | ヤガ科 | 160 |
キバガ科 | 1 | カレハガ科 | 4 | トラガ科 | 1 |
マダラガ科 | 3 | オビガ科 | 1 | ||
イラガ科 | 7 | カイコガ科 | 1 |
蛾類による環境評価の一つとして用いられている『GSL指数(シャクガ指数)』は『47.7』となり,主な調査地とした北本市石戸宿付近は『樹木の多いかなり良好な自然環境』を示す.
ことに,石戸宿,高尾など市の西部地域は,谷地が複雑に入り込み低湿草地と斜面林が現存し,都市近郊では稀にみる良好な自然と認められ,大宮台地における最も優れた自然環境といえる.