北本の動植物誌 本編 北本市のクモ類

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2.北本のクモ相
調査の結果,ここに17科91種のクモを報告する。北本市は台地で環境にさほど変化がないため,やや多様性に欠ける傾向が見られる。その中で,稀産種とは言えないが,通常あまり個体数の多くないヤエンオニグモ,従来山地に多いとされてきたクリチャササグモが少なからず見られること,どちらかといえば水田や湿地に多いヨツボシヒメアシナガグモ,アゴブトグモが生息することが特色として挙げられる。もう一点は北本市だけに限らず,全国的な傾向として言えることだが,南方系クモの北上を挙げておきたい。該当種はオオトリノフンダマシ,シロカネイソウロウグモ,ハラダカツクネグモの3種で種数としては多くないが,上記3種のクモはいずれも1978年度(1977年5月。1978年4,7,10月。1979年2月)に日高市(当時の入間郡日高町)巾着田,1981年度(1981年5月,7月,10月。1982年2月)飯能市天覧山でそれぞれ実施された,東京蜘蛛談話会の採集観察会では記録されなかったが,1991年度(1991年5月,7月,10月。1992年2月)に再び巾着田で行われた同採集観察会では,シロカネイソウロウグモ,オオトリノフンダマシが記録されており,南方系であるトリノフンダマシ属から他にトリノフンダマシ,シロオビトリノフンダマシ,クロトリノフンダマシの計4種が記録された。またハラダカツクネグモは今回の北本市が埼玉県初記録である。以上のことから地球温暖化に伴う南方系種の北上がある程度支持される。
また今回地上徘徊性で採集例が少なく,1988年に記載されたばかりのマツモトオチバカニグモが採集されたことも付記しておく。

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