北本の動植物誌 本編 北本市の多足類
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2.北本市の多足類相について
北本市産多足類は,唇脚綱3目6科13属19種1亜種,倍脚綱3目7科9属10種,結合綱1目2科2属2種,少脚綱1目1科1属1種を記録した。
まず,北本市産の4綱8目についてその概説を記す。
(1)唇脚綱(ムカデ類)
ムカデの体は,顎肢(がくし)のある頭部とそれぞれ1対の歩肢をもつ多数の体節からなる細長い胴部とからできている。口器は1対の大顎と2対の小顎をもつ。生殖口は胴部後端にある。5目に分けられ,いづれも毒を持つ肉食性動物である。日本には以下の3目の他にゲジ目がある。
①イシムカデ目
歩肢は30本。ゲジ目と同様に脱皮を行うたびに体節数が増える増節変態をする。単眼は0~約70個。背板の後角は鋭い突起状になるグループもいる。体長は短く5mm~35mm。偏平な体型で,落葉下に多い。日本にはイシムカデ科とゲジに近縁のトゲイシムカデ科の2科がある。
②オオムカデ目
歩肢は42本,または46本。孵化時から体節数は一定である。単眼は0~8個。体長は40mm~110mm。中南米には30cm近い種類もいる。落葉中のほか倒木の樹皮下や人家周辺の隙間にも生息する。オオムカデ類とアカムカデ類は,一般に最もよく知られたムカデである。
③ジムカデ目
歩肢は62本から362本まで。但し,日本産は62~178本。オオムカデ目と同様に脱皮による増節はしない。無眼。短い足と細長い体型は,地中生活に適している。馴染みの少ないムカデであるが,多くの属種を含む。
(2)倍脚綱(ヤスデ類)
ヤスデ類の体は,ムカデ類と同様に頭部と胴部とからできている。しかし,胴部は前方の数節を除き,大半の体節は2対の歩肢をもつ。すなわち,ヤスデ類の胴節は,2つの体節が合着した重体節構造になっている。口器は1対の大顎と1個の顎唇をもつ。生殖口はふつう胴部の前方腹側に開く。腐植食性である。
北本市には次の3目が生息する。
①ヒメヤスデ目
横断面は丸い胴を持ち,細長く,歩肢が短いため,小さな黒い紐のように見える。眼は0~約120個。腐葉やキノコ等を食べる。手でつかむと全身をくねらせて体側から悪臭を放つ。
②ツムギヤスデ目
眼は0~約60個。各胴節に長い剛毛が生えている。歩肢がやや長く,ヤスデの仲間では動きが速い。落葉下に多く見られる。
③オビヤスデ目
背板の側庇が横に張り出しているため,平たい体型に見える。眼は無い。胴部の横断面は円形。防御時に,強い悪臭を出す種類もいる。腐葉土や落葉中に棲む。
(3)結合綱(コムカデ類)
口器は1対の大顎22対の小顎をもつ。無眼。生殖口は腹側の前方にある。日本産は1目2科3種が既知である。今後,多くの属種が記載されると思われる。
①コムカデ目
歩肢は22本~24本。尾端に1対の出糸突起を持つ。体長は5mm以下。白色のため,ムカデ類の幼虫に間違われやすい。
(4)少脚綱(エダヒゲムシ類)
体は頭部と胴部からなるが,退化的な体制である。触角は分枝している点が特異である。口器は1対の大顎と小顎をもつ。無眼。生殖口は前方腹側にある。
①エダヒゲムシ目
日本産は3科がある。通常,足は18本。体長は0.5~2mmと微小なため,採集及び生態観察は難しい。最近,多くの属種が新種記載されている。
北本市産多足類は,唇脚綱3目6科13属19種1亜種,倍脚綱3目7科9属10種,結合綱1目2科2属2種,少脚綱1目1科1属1種を記録した。
まず,北本市産の4綱8目についてその概説を記す。
(1)唇脚綱(ムカデ類)
ムカデの体は,顎肢(がくし)のある頭部とそれぞれ1対の歩肢をもつ多数の体節からなる細長い胴部とからできている。口器は1対の大顎と2対の小顎をもつ。生殖口は胴部後端にある。5目に分けられ,いづれも毒を持つ肉食性動物である。日本には以下の3目の他にゲジ目がある。
①イシムカデ目
歩肢は30本。ゲジ目と同様に脱皮を行うたびに体節数が増える増節変態をする。単眼は0~約70個。背板の後角は鋭い突起状になるグループもいる。体長は短く5mm~35mm。偏平な体型で,落葉下に多い。日本にはイシムカデ科とゲジに近縁のトゲイシムカデ科の2科がある。
②オオムカデ目
歩肢は42本,または46本。孵化時から体節数は一定である。単眼は0~8個。体長は40mm~110mm。中南米には30cm近い種類もいる。落葉中のほか倒木の樹皮下や人家周辺の隙間にも生息する。オオムカデ類とアカムカデ類は,一般に最もよく知られたムカデである。
③ジムカデ目
歩肢は62本から362本まで。但し,日本産は62~178本。オオムカデ目と同様に脱皮による増節はしない。無眼。短い足と細長い体型は,地中生活に適している。馴染みの少ないムカデであるが,多くの属種を含む。
(2)倍脚綱(ヤスデ類)
ヤスデ類の体は,ムカデ類と同様に頭部と胴部とからできている。しかし,胴部は前方の数節を除き,大半の体節は2対の歩肢をもつ。すなわち,ヤスデ類の胴節は,2つの体節が合着した重体節構造になっている。口器は1対の大顎と1個の顎唇をもつ。生殖口はふつう胴部の前方腹側に開く。腐植食性である。
北本市には次の3目が生息する。
①ヒメヤスデ目
横断面は丸い胴を持ち,細長く,歩肢が短いため,小さな黒い紐のように見える。眼は0~約120個。腐葉やキノコ等を食べる。手でつかむと全身をくねらせて体側から悪臭を放つ。
②ツムギヤスデ目
眼は0~約60個。各胴節に長い剛毛が生えている。歩肢がやや長く,ヤスデの仲間では動きが速い。落葉下に多く見られる。
③オビヤスデ目
背板の側庇が横に張り出しているため,平たい体型に見える。眼は無い。胴部の横断面は円形。防御時に,強い悪臭を出す種類もいる。腐葉土や落葉中に棲む。
(3)結合綱(コムカデ類)
口器は1対の大顎22対の小顎をもつ。無眼。生殖口は腹側の前方にある。日本産は1目2科3種が既知である。今後,多くの属種が記載されると思われる。
①コムカデ目
歩肢は22本~24本。尾端に1対の出糸突起を持つ。体長は5mm以下。白色のため,ムカデ類の幼虫に間違われやすい。
(4)少脚綱(エダヒゲムシ類)
体は頭部と胴部からなるが,退化的な体制である。触角は分枝している点が特異である。口器は1対の大顎と小顎をもつ。無眼。生殖口は前方腹側にある。
①エダヒゲムシ目
日本産は3科がある。通常,足は18本。体長は0.5~2mmと微小なため,採集及び生態観察は難しい。最近,多くの属種が新種記載されている。