デーノタメ遺跡 遺跡の立地と環境

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第2章 遺跡の立地と環境

第1節 遺跡の地理的環境

北本市は埼玉県の中央部やや東寄りに位置し、市域の大半は大宮台地の北部に展開している。大宮台地は武蔵野台地と下総台地に挟まれており、西の荒川低地と北の加須低地、東の中川低地に画されて島状に独立する。台地の規模は北端の鴻巣市から南端の川口市までは約35km、東西は約15kmで紡錘形を呈し、東側には狭小な小支台が多数分布する。(第2図)

第2図 大宮台地と北本市の位置

この大宮台地の北部に位置する北本市は、本台地において標高が最も高く、市域北西部の髙尾・荒井付近では標高が32mを超え、西側の荒川低地との比高差が大きく、また樹枝状に発達した開析谷の侵食によって比較的起伏に富んだ地形を形成する。市域の標高はここから東へ向かって次第に高さを減じ、市中央部の江川流域では約20~25m、東部では約15mと逓減する。このため、台地の東端は台地と低地との比高差が小さく、市域の東西では大きく景観が異なっている。
デーノタメ遺跡は北本市の南部、下石戸下地内に位置し、経緯上の位置は北緯36°0’55"、東経139°32'18"である。遺跡は市を南北に貫流する江川流域の台地部から低地部にかけて広がっており、その規模は東西375m、南北235mである。台地の北西は広大な江川の低湿地が広がり、遺跡の北西部は東西170m、南北80mの規模でテラス状の低地が湾入しており、かっては湧水起源による沼沢地の跡と想定される。第Ⅰ章で触れたとおり、このテラスと低地の境界付近には昭和40年代半ばまで「デーノタメ」と呼称される約 1,000㎡の溜池が所在しており、こうした湧水による豊かな水環境を特徴とする立地が、この地にデーノタメ遺跡が営まれた大きな理由の一つであろう。
現在、遺跡の台地部分の多くは雑木林、屋敷林、竹林等の山林が占め、原状をよく残しているが、北西の低地部の大半は北本団地(独立行政法人都市再生機構)として造成され、改変が著しい。

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