北本市史 資料編 近代

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第2章 産業・経済

第2節 近代産業の発展

4 北本の特用農産物

139 大正八年(一九一九)十月 石戸の甘諸の県令規則違反
  (『東京日日新間』大八・一〇・八))
本県各地共昨今甘藷の出廻り期となり上尾駅には五日三千九百廿六俵、桶川駅千五百俵、大宮駅六百八十俵、蓮田駅二百八十六俵、粕壁駅四百八十俵の出荷あり、主として奥州・信越方面に向け移出されつ、あり、本年は是非共北海道旭川・札幌・小樽・函館方面に新販路を開拓せんと目下輸送及防腐方法につき研究中なるが、甘藷商同業組合が各地に検査員を派して俵装貫数・内容等の調査を為さしめたる結果、上作の為品質は良好なるも鴻巣・桶川・上尾附近のものは乱俵に流れ県令取締規則も全く徹底せざる憾あり、組合にては間断無く組合員を各停車場に臨検せしめ荷票の有無を調査差支無きものには移出を許し、生産者が規則に違反せるものを搬入し来るときは其都度注意を与へ、別に
一、桶川・上尾地方産は虫喰且泥の附着したるもの往々あり、大宮地方其附近のものは小物混入の弊あり之が矯正を要す
二、俵装数量一定せず往々規定(一貫五百匆)以上のものあり、殊に新芋に於て散見せり、購入移出の摩擦に一般の注意を要す
三、甘藷の店頭又は停車場駅内等にて爾来不完全の儘放置しあるものあり、又積下を漏地其儘積置くものあり、是等に特段の注意を要す
四、生産者荷票は生産者の責任を明かにするものなるを以て、必らず之を付せるものに非ざれば取扱ふことを得ず、尚同業組合発行の組合員荷票を添付するに非されば移出するを得ず
との注意書を配布せるも検査を厭ふの傾向あり、最も北足立郡上平村・上尾村等の青年会は模範的にて上平の如き喜んで内容の検査を乞ふものあれど、概して規則を厳守するもの少く、六日堀の内・石戸等には二三の違反者に対し告発するの已む無きに至れるが、今後は単に注意に留めず断然処分せしむる方針なりといふ、而して南埼玉郡は郡役所と農会と検査員と生産者との連繫完全にて検査に立会ふ、警察官に対しても常時巻尺を携行せしめ居る等大宮附近と同じく規則の励行を見つゝあるが、新販路の開拓に際し最も力を致さヾるべからざるは取締規則の励行と輸送防腐方法の講(考カ)究に在れば、達反者はドシ〱処分するも各生産者に於ても此点に十分の注意を要すると

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