北本市史 資料編 現代
第5章 変貌する社会
第4節 人口増と住宅建設
139 昭和三十九(一九六四)年八月 南北本団地の分譲(『埼玉新聞』昭三九・八・一四)
一万円台の住宅地サラリーマンのベットタウン
南北本団地帝都地所が分譲
オリンピックを目前に、現在道路整備工事は急ピッチに進められ、交通の便も日増しに安定化の方向へ進みつつある。しかし少しでもよいから土地がほしいという大衆の願いはなかなか叶えられない。それは道路が整備され交通が便利になると距離感は縮まってもそれに比例して土地の価格が正確にあがるからである。都心へ一時間、その辺がサラリーマンや、一般庶民の憩いの住宅を作る理想のベット・タウンといえよう。しかし都心から一時間の範囲では、坪あたり平均四万円から五万円、それもなかなかよい土地が手に入らないものである。やっと手に入っても水が出ない、電気が来ない、私鉄ならストの不安に悩まされる、ということで庶民の願いである”自分の土地に、自分の家”がかなえられないのが現実だろう。帝都地所の分譲地—埼玉県北本町にある南北本団地はわれわれの願いを完全に満たしてくれている。それは良心を売っている帝都の信条でもあるからである。
さて実際に南北本団地の優秀性を分折(析)検討してみよう。
東京に近い
帝都地所の南北本団地は上野駅から高崎線で桶川駅まで四十六分のところにある。この団地には北本駅より桶川駅から行くほうが近いし、駅から二千三百メートルのバス停二つ家下車、徒歩三分のところがこの団地だ。汽車に乗っての通勤かとなげく人はちょっとまってもらいたい。
いまや上野駅から桶川駅まで一日数十本の直通電車が走っている。とくに朝夕のラッシュ時には東京直通として、桶川発七時一分と東京発十八時三分がある。電車は湘南型と同じ型で乘り心地も満点である。
都内への通勤用としては、朝六時台の電車八本、七時台が四本もある。急ぎのときは急行も利用できる。しかも横浜—大宮間を五分おきに走る京浜東北線を利用する場合は、大宮で高崎線にのりかえて三つ目が桶川駅というわけだ。
最近、高崎線の飛躍的な増強とともに、沿線の人口は増加の一途をたどっている。しかもマイカー時代とあって自分の車で通勤する向きは高崎線と併行して市街地を貫通する国道一七号線とバイパス道路の二大幹線を起点に都心まで四十分余で快適なドライブが楽しめる。
もう南北本団地はサラリーマンのベット・タウンとしてなくてはならない存在となってきたと断言できる。