実録まちづくりにかける集団
第1編 何にも勝る体験学習
「何かしたい大人」はいっぱいいる現代の若い親たちは、子供時代の過ごし方が画一的であり、体験に乏しいものであったようだ。だから、子供を持つようになっても何も伝えることができない。
ふるさと学習事業を通して感じたことのひとつに、「何かをしたいという大人がたくさんいる」ことがあげられる。ただ、何かをしたいと思ってはいるが、何をどのようにしたらよいのかがわからない。しかし、そうした親たちも、機会さえあれば、積極的に参加してくる。
遊びの学校にしても、北本太鼓にしても、最初は子供たちだけの育成を目指していたが、付き添いできた親や、活動を目にした大人たちから、「自分たちもやってみたいがチャンスは無いのか」という声が届く。それではと、門戸を広げると、次々と仲間に入ってくるのである。
「前からやってみたかったんだ」「こんな場所を設けてもらえてうれしい」「もっと早く知っていればよかった」などと、さまざまなうれしくなった感想を聞かせてもらえる。
「よい学校・よい成績・よい会社への就職」が、人生の最大課題のように言われて育った年代では、まさに夢の世界のように見えるらしい。自然でいることが、当たり前でなくなった世界で育った人たちの、共通の意識のようである。
北本市では、社会教育委員の会が提案した「人財図書館構想」が実行に移され、多くの市民が、講師を引き受ける人財として登録している。また、彼ら人財を講師とした市民大学も、多くの学部・学科を提供し、年々受講する市民の数が増加している。学習する機会を求める市民はたくさんいる証左である。