実録まちづくりにかける集団

北本この人 >> 実録まちづくりにかける集団

第2編 「わぁ、つくしんぼみたい、わたしのおうち」
   あそびの学校が歩んだ十三年

六 自分で考え創り出すこと(遊びの学校実践活動から)

膨らませた風船に竹串を通す
あるときこんな実験をさせてみた。風船と竹串を配り、膨らませた風船に竹串を通せという課題だ。マジックやトリックではなく、純粋な科学の問題である。「膨らませた風船に何かを刺せば破裂する」は一般的な常識となっていることから、受講生たちは絶対にできないといってやろうとしない。
そこで「これは信念の問題である。できると思えば必ずできる」と、やって見せたところ全員目が点になっている。実際には、信念の問題でもなんでもなく、誰がやってもできることなのだが、おまじない風に言われると、胡散臭さを感じたのか、何か仕掛けがあるだろうという疑いの顔の受講生もいる。そうではない。膨らませた風船の、吹き口とは反対側、つまり「へそ」の部分から串を刺せば、簡単に通せるのである。
そして、「常識」ということについて話をし、「常識とは決して多数派の意見ではない」ことを教えるのである。
人は、「常識だ」といわれるとつい信じてしまいがちである。一般的な言い伝えを、鵜呑みにするのではなく、なにごとも、自分の体験で結論づけることの大切さを学んでもらうのだ。どうすれば、不可能と思えることが可能となるのかを、一生懸命考えさせることは、非常に大切である。
解説を聴いてはじめて、子供たちは「なーんだ」と理解するが、実際には思ったとおりなかなかできないのも事実である。情報として理解しようとしても、実際の行動が伴わなければ、本当に理解したことにはならない。遊びの学校では、こうして何についてもできるだけ、体験の中で理解できるよう指導するのである。

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