実録まちづくりにかける集団
第3編 「鼓群奮闘」
北本太古かばざくら五千日の活動記録
第1章 北本太鼓誕生
太鼓教えてください文部省委嘱事業の一年は、あっという間に終わってしまった。手元には立派な太鼓のセットが残った。わかっていたこととはいうものの、いよいよ本当の太鼓の音づくりを始め、市民から寄せられる熱い期待に対しても、応えていかねばならない。どういう形で作り上げていいのか、見当もつかなかった。太鼓師の堀田新五郎は、
「リズムを打てば太鼓の曲になる。」「かわいいかわいい魚やさんでも、さくらさくらでもなんでもいいんだよ」
とこともなげに言った。その意味はずっと後年になるまで理解できなかった。
いくつかの活動している太鼓グループに、援助を依頼したがいい結果にはつながらなかった。ドラムの行田が提案した。
「自分の田舎に、湯掛け太鼓というのがあり、知りあいがやっているから、習いに行こう。」
早速、連絡をとりリーダー格のもの数名と、ビデオカメラをつんで群馬県川原湯温泉へ出かけた。太鼓の練習場は、街の山の上にある神社であった。地元の太鼓連の皆さんが、われわれのために演奏してくれた。
「わぁ、こんな難しい曲をたたくんだ」と、感動とおそれの両方を受け取った。