実録まちづくりにかける集団

北本この人 >> 実録まちづくりにかける集団

第3編 「鼓群奮闘」
   北本太古かばざくら五千日の活動記録

第2章 海をわたった「北本太鼓」

アメリカ行き決定
そうこうしているうちに、再び芸術海外交流会の亀田から
「来年ならアトランタオリンピック開会式当日か、閉会式当日の公演の機会も有る」という知らせが入ってきた。オリンピックには非常な魅力を感じながらも、結果としては、自分たちの活動条件を考慮し、来年六月上旬ポートランドのローズフェスティバルをメインとして、スクールコンサートとワークショップを取り入れることで、概ねの了解がなりたった。このときはもう一〇月を迎えていた。
  ・日程は平成八年六月五日から十一日まで
  ・スクールコンサートと学校訪問による交流の直接体験ができること
  ・複数の学校を訪問できること
  ・参加費用は一人二〇万円までで設定すること
  ・観光は省略してもいいこと
  ・団員と機材が一緒に移動できること
など、基本的な事項についての計画が出来上がった。
この基本計画をもとに、教育委員会を通じて、北本市からの支援依頼が始まった。「前例が無い事業」については、本来行政の動きは大変消極的なものだが、北本太鼓かばざくらが、北本市委嘱のふるさと学習の一環であり、青少年育成市民会議の会長が市長ということもあってか、積極的協力をいただいて、具現化できる見通しとなってきた。前年フェスティバルに出演した団体についての情報や、他に海外公演を実施した団体などの話から、太鼓のように機材を必要とするものについては、人にかかる費用は当然ながら、機材輸送費が半端ではないことを知った。
スクールコンサートやワークショップのためには、できるだけ多くの機材を持込みたい、かといってそんなに多くの費用はかけられない。試算してみると、自分たちの機材についての費用だけで三〇〇万円から四〇〇万円に上りそうだという。荷造りや空港までの輸送は自分たちでやるから、航空運賃だけは何とか援助してもらえないかと、数度にわたる交渉の結果、デルタ航空を使ってくれるなら、スポンサーとして便宜をはかってもらえるかも知れない、という連絡が届いたのは三月を迎える頃だった。しかし、まだ確約ではないという。参加者については、せっかくのチャンスなので、できるだけ多くの団員を連れていきたいということから、全員に参加の声掛けをした。ただし子供については、親が同行することを条件とする。その結果三〇人ほどが取りあえず参加できそうだということになった。
ここまで来れば、あとは自分たちの技量を磨くことと、どんな内容の公演をするか、だけを考えることが残されているのみである。フェスティバルの中での演奏については、現地の実行委員会のプログラムに任せることとなるが、スクールコンサートはこちらの企画で自由にできた。演奏三〇分、ワークショップ三〇分を基本に組み立て、曲目は、組曲「かばざくら」を中心として、子供たちの曲、練習曲などを組み合わせてみようと決まった。

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