北本市の埋蔵文化財

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北本市は、東京の都心から約50キロメートル北西方に位置する田園都市です。西の方には荒川が流れ、 台地上や台地縁りには雑木林や原野が多く、 小鳥の囀りがここかしこに聞こえてくるのどかな土地です。 しかし、今や宿場町から住宅都市へと変わりつつあります。
十年くらい前までは、まだ開発事業もあまり多くはなく、文化財の損壊というような事態はほとんどありませんでした。 ところが、 ここ数年前から都市化の波が急に押し寄せ、地域開発の進展とともに文化財の危機が叫ばれるようになりました。 とくに、この影響をまともに受けるようになったのは、土地に結びついた史跡および埋蔵文化財であります。
このような、市の文化財の危機に対処するために、市教育委員会では、文化財の所在の実態を把握するために、 各種文化財の基礎調査を実施する計画をたてたのです。そしてそのはじめの事業として実施したのが遺跡分布調査でありました。 この調査結果によれば、北本市には、六十箇所の遺跡が存在することが確認され、北本市の原始・古代の歴史がより鮮明になりつつあります。 また、 この分布調査中、遺跡がこわされている現状にも直面し、急きょ記録保存のための発掘調査を実施したものもあり、 この調査結果も本書に収録しました。
これらの調査の実施にあたっては、 県教育委員会社会教育課や、 県立博物館準備事務所のご指導により、市文化財保護審議委員が中核となり、地元民や大学生のご協力をいただきました。関係各位の皆様に厚く感謝申しあげます。
おかげさまで、北本市の意外に古い歴史の貴重な資料が克明に記録されました。 これらの資料が、学術、教育の向上のために活用されるとともに、都市計画や土地開発事業等にもひろく活用され、文化財の保存をするうえに役立つよう望みます。

昭和46年11月10日

北本市教育委員会教育長 大 護 俊 英

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