北本市の埋蔵文化財
宮岡氷川神社前遺跡発掘調査報告
早川智明 吉川国男 石井幸雄
岩井住男 土肥 孝
5.遺物
土器
(1)第一次調査地点出土の土器
この類は、典型的な帯繩文とともに刻み目のある瘤起乃至は双指押瘤、単瘤を有し、なおその繩文の撚りがRLであることを特色とする精製土器のグループである。器形は、ほとんどが深鉢形であるが、6・9は注口土器である。帯繩文の代わりに、 7や15のように連続爪形文を施したものもある。帯繩文の両脇の沈線は、太くて雑な感じのする平行するものが概して古く、曲線状になったり、窓枠状につながるものが概して新しいものと把えてよいであろう。色調は、暗褐色、暗紫褐色のものが多く、次いで黒褐色、黄褐色のものもある。焼成は良好で竪く、大部分のものが、無文帯を研磨し光沢を帯びている。出土層は、第四類土器と同様に黝黒色土中である。型式的には、安行Ⅱ式の主調であり、若干Ⅲa式が含まれると解してよいであろう。第二次調査の土器では第四類に分類されている。
第10図 第一地点出土の第五類土器拓本