北本市の埋蔵文化財

社会3 >> 北本市の埋蔵文化財

宮岡氷川神社前遺跡発掘調査報告

早川智明 吉川国男 石井幸雄
岩井住男 土肥 孝

5.遺物

 土器
(2)第2次調査地点出土の土器

第七類土器(第15図1~11)
2条の並行する沈線によって囲まれた帯状の部分に、一列の列点文を配しているものをまとめてみた。これらは形態としては口縁がわずかに外反し、比較的上位にてややくびれる深鉢形土器と、同じく頸部を有し、丸底になる浅鉢形土器に大別されるが、前者の場合はその内に水平口縁になるものと、波状口縁になるものの2種がある。口縁を波状にするものの波の数は、およそ他の遺跡例等からしてもおそらく5単位になろうと推察されるが、 実のところ本遺跡からは復原可能な土器の出土はなく、不詳である。又、後者の浅鉢の場合も水平口縁になるものの外、やはり波状口縁になるものの破片も含まれていることと思われるが、これも同じく、それを証する資料はなく、判然としない。更に、各破片の厚さ、断面の特徴から見た形態上の詳細についてみると、深鉢形土器の中にも2・7のように薄手で、しかも、内面の弯曲具合等から推して、高さ20㎝以下になろうと思われるやや小型のものと、 3~6・8・10のように厚手でやや大型の深鉢になると思われるものがある。又、浅鉢においても同じようなことが言える。施されている沈線並びに列点文の特徴をあげると、沈線の引きを同じ方向に突いているもの、これとは直角の向きに突いているもの、斜めに突いているもの、円形に上から突いているもの等があり、それぞれ、型式的な特徴と結びついているように思われる。色調は淡褐色をしているものが多く、黄褐色、褐色、暗褐色になるものがこれに次いでいる。胎土中にはチャート粒と思われるものを比較的多く含み、器表面は滑沢がなく、ざらついているが、内面はヘラ磨きによる滑沢のあるものが殆んどで、浅鉢の類は特にその点が顕著である。なお、文様構成の中で、三叉文、入組三叉文のあるものがあまりみつかっていない。

第15図 第二地点出土の第七類・八類土器拓本

<< 前のページに戻る