北本の仏像

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Ⅱ 各地区の仏像

補遺

 地蔵堂

地蔵堂 下石戸下2019 →(寺院詳細)

かつてこの地にあった修福寺という天台寺院に付属した堂で、本尊の坐身二尺許の地蔵像は、伊東刑部なる人物が背負って来たものと伝える。『風土記稿』によれば、下石戸下村の小名刑部谷はその伊東刑部の居地であった、と見えるが、やはり後世付会された伝説にすぎないであろう。修福寺につぃては、大蔵寺の項で簡単に触れたが、川田谷泉福寺の末寺で、池端山十輪院と号し、明治四年に廃寺となった。地蔵堂も現在は民家に変り、本尊のみを部屋の片隅に祀っている。


【木造地蔵菩薩半跏像】

地蔵堂 木造地蔵菩薩半跏像

〔品質〕寄木造、玉眼、漆下地に彩色
〔法量〕 像 高 38.2 膝 張 32.5 膝 奥 28.0 総 高 56.0
伊東刑部が背負って来たと伝える地蔵堂本尊で、右手に錫杖、左手に宝珠を持ち、左足を台座下に垂下して半跏する、いわゆる延命形の地蔵菩薩である。像の構造は、頭部耳前で前後二材矧ぎとし、本体に差首、身幹部は両肩先を含めて前後二材から造り、内刳し、膝前横に二材を寄せ、左足両手先及び裳先を別材とする。全体に古格のある整った彫技を見せ、そのカッキリとまとめあげられた頭部の造りや強い曲線を描く衣褶の彫り等には、鎌倉彫刻に通じる独特な調子の強さがある。
ただ、総体に刀の入りが浅く、形式的な表現になっているのは、この像の製作期がそれほど遡らないことを物語っており、室町末期頃の造立と見なされる。


地蔵堂 左側面

地蔵堂 像底部

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