北本の動植物誌 本編 北本市の動植物相概説
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Ⅲ 北本の動植物の概観
北本市域の動植物の今回の調査では脊椎動物220種,無脊椎動物1986種(うち昆虫綱1815種)を記録しえた.内訳は表1のようになる.植物はコケ植物1種,シダ植物39種,種子植物642種の合計682種を記録した.
哺乳類は斉藤貴により13種が記録された.これは埼玉県産の26%にあたる.児玉町の20種,寄居町の19種には及ばないが戸田市の8種を越えており,この数字がこれら市や町とのおおよその環境の良悪の目安となるようで面白い.特にホンドタヌキは環境庁が一旦は絶滅地に認定しただけに,目撃や足跡を確認したほか死体3頭を確認できたことは大きな収穫であった.またホンドキツネも僅かながら生息していることが確認できた.
鳥類は島田勉により163種が記録された.埼玉県産の53.1%を占める.この数字は児玉町の115種,寄居町の112種を大きく越しており,その分よく調査された地域だと評価ができる.おそらくここに記録した種以外の鳥が目撃される確率は非常に少ないであろう.環境庁指定の危急種オオタカ,ハヤブサ,同じく希少種のチュウサギ,トモエガモ,ハチクマ,ハイタカ,オオジシギ,コアジサシ,シラコバト,コジュリンが確認できたことは島田も指摘するように,北本市に良好な自然環境が残されているからである.島田によれば近年は都市化による環境の変化が大きく,かつての普通種が希少種に,逆に希少種だったものが普通種に,繁殖鳥が非繁殖鳥に,その逆に非繁殖鳥が繁殖鳥へ,冬鳥だったものが留鳥化するなど鳥相の変化も大きいという.これからもますますこの傾向は強まっていくものであろう.したがって継続して観察することが望まれる.
爬虫類10種,両生類7種が関口いづみにより記録された.爬虫類ではニホンヤモリとマムシの記録が重要である.両種とも市域ではすでに絶滅したものと考えられていたが,僅かながらまだ生息し続けていたことがわかった.ニホンヤモリは北本中学校で,マムシは石戸宿でそれぞれ発見されたものである.ニホンヤモリは家屋周辺に生息する種で,日本の伝統的な家屋と生活様式が残っていて,ニホンヤモリの生活場所と食餌となる昆虫類が見つけやすい環境が存在することがうかがえる.またマムシの生息は関口も指摘するように,荒川に近い石戸宿地域に生物相の豊かな自然が残されているからである.
明治45(1912)年に編まれた石戸村郷土誌によると,スッポンの生息が記録されているが今回の調査で記録できず,北本市から完全に絶滅したと考える.逆に北アメリカ南部原産のミシシッピーアカミミガメが蓮沼に多い.これは近年ペットとして飼われていたものが逃げたり,捨てられたりしたものが野生化したもので,都市を中心とした全国的な現象である.しかも在来種を圧迫して駆遂する危険があるのでこのような行為は慎みたい.
両生類では生息しているであろうツチガエルが今回は記録できなかった.個体群が小さくなり,かなり危機的状況にあるのではないかと思われる.完全に絶滅したと思われるのはイモリで,北本市史第3巻上によれば,昭和の初期まで見られたとしている.おそらく戦後の急速な開発と農薬の使用により絶滅したと考える.
魚類は金澤光により27種が記録された.うち在来種は18種,公的機関が移植したもの3種,放流種苗に混入したものや釣りマニアが放流したであろうもの6種である.荒川水系には61種が生息しているが,その半数弱が北本に生息している.その中で希少なものはヤリタナゴとホトケドジョウである.ヤリタナゴは赤堀川から記録されたが産卵するマツカサガイ,イシガイ等の二枚貝が確認されていないことから,金澤光は繁殖再生産はしていないと見ている.一方,ホトケドジョウは湧水の細流に細々と生息している.ホトケドジョウの生息も風前の灯といったところで是非保護したい.また以前は生息していたスナヤツメ,ギバチはおそらく絶滅したものと思われる.
このような在来種の景気のよくない話の反面,ブルーギルとオオクチバスは確実に個体数を増加させている.この両種は小魚を食餌とし,旺盛な繁殖力をもつもので,これらのばっこは在来小型魚や大型魚の幼魚を襲うもので,北本市内水系の生態系を乱し単調にするものとして,除去することが望ましい.また移入魚であっても草食魚であるカムルチーは池沼と産卵床であるマコモ等の抽水植物帯の減少で,個体数が減少していると金澤は指摘している.
ハエ類は原勝司により14科70種が記録され,大熊光治は水生のもの5科11種を記録した.牧林功はそれを補遺し21科91種を追加した.重複する種が23種あるので,北本市産ハエ目は149種が記録されたわけである.ハエ目ではショージツルギアブを新種として記載するとき,石戸宿で採集された標本が副模式標本とし使われた.また♀だけしか採集されていないため,とりあえずタイワンハラボソツリアブとしたが,♂が採集されればあるいは新種,という可能性を秘めている.ハナアブ科のまだ和名もついていないブラティケイルス・ペンニペスは埼玉県初記録のものであるし,ハナナガモモブトハナアブのような珍しい種やオオズクロスジハリバエのような種が平地に産することに驚かされる.少なくとも北本には貴重な野生が存在することにまちがいない.
表1 動物の分類別群別生息種数比較
ハチ類は176種が記録された.この種数は鶴ヶ島市とほぼ同じで現在の自然環境からうなづけると南部敏明は指摘する.また南部は大型のスズメバチ4種が採れたことは,餌とする昆虫が豊富であり自然環境がよく残っている.としながらも個体数が少ないのでいつまで生息できるか危惧している.さらに種の同定ができていないが寄生蜂であるコマユバチ科,ヒメバチ科がかなり多く生息しており,これらが多いことは寄生する昆虫が多く生息していることを示すものだという.さらにアリ科は埼玉県産80種ほどの約半数が採集できたが,面植が狭くても過去の良い環境が保たれていれば,アリ科は生き残ることが可能である.寄生蜂とアリ科の状況から現在はあまり自然が残っていないが,以前はかなり良好な自然環境があったと指摘している.
注目すべき種はヒロズハヤバチでこれは埼玉県初記録.この種が記録されたことにより,日本産ハヤバチ属5種のすべてが埼玉県内に産することがわかった.またキイロカドフシアリ,モリシタカギバラアリも埼玉県初記録種である.特筆すべきことはマルハナバチの日本未記録種が採集されたことである.おそらく温室トマトの結実をよくするためにヨーロッパから輸入したものが,逃亡して居ついているのではないかと南部は指摘している.
甲虫類は牧林功により626種が記録された.この中には環境庁指定の危急種ホンシュウオオイチモンジシマゲンゴロウ,希少種セスジガムシのような国レベルの貴重な種が存在する.またサワダマメゲンゴロウも山地渓流性のもので,おそらく荒川の増水などで流下してきたものであろうが,平地としては極めて珍しい. ゴマフガムシ,ニセツマキミズギワゴミムシ,ヒョウゴミズギワゴミムシ,ルリボシカミキリ,クモガタケシカミキリ,エゴヒゲナガゾウムシのような少ない種や山地性で平地での生息としては珍しい種もいる.
チョウ類は牧林が60種を記録した.近年の大宮台地の開発はすさまじく,蝶の種数が激滅している.しかるに60種という数字は1960年代までに記録した大宮市の種数の62種とほぼ同様である.このことは北本市の自然環境が1960年頃の大宮市とほぼ同様の状態にあるとみてよい.1960年頃というのは燃料革命の時代で,日本における暖房その他の燃料が薪炭から化石燃料に置きかわった時代である.平地の種数として60種は誇ってよい数である.しかし,いくらかの種では生息基盤が揺るぎ絶滅寸前というものもある.あえて北本市独自の評価をしたが,それは絶滅危惧種としてミヤマセセリ,ホソバセセリ,コツバメ,コジャノメを,危急種としてミヤマチャバネセセリ,ウラナミアカシジミ,オオミドリシジミ,ジャノメチョウを位置づけた. ただクロシジミは完全に姿を消したのでこの機会に北本市での絶滅宣言をした.
蛾類は455種の生息が故・市川和夫と萩原昇により確認できた.蛾類による環境評価として使われるシャクガ指数は47.7で主な調査地とした北本市石戸宿は「樹木の多いかなり良好な自然環境」を示している.その雑木林性の注目すべき種はフシキキシタバで関東地方では県内の久喜市,および川島町と北本市のみで記録されているものである.シタバガの仲間は大型の美しい蛾であるが,フシキキシタバのほかコシロシタバ,マメキシタバ,キシタバ,ジョナスキシタバが多産することもあげておいてよいであろう.
しかし何といっても特徴がよくあらわれているのは湿地性の蛾であって,ヨシットガ,ニカメイガモドキ,シロットガ,ツマグロヨトウ,ノヒラキヨトウ,テンオビョトウ,マエホショトウなど県内で採集記録の少ない種が生息するとともに,利根川中流部の沼沢地(群馬県板倉町),茨城県の菅生沼,新潟県曽根の水田地帯にのみ生息するイチモジヒメヨトウ,前記菅生沼と所沢市三ヶ島,久喜市青毛のみから知られているハスオビアツバが石戸宿に生息することである.多数の湿地性の蛾のなかには,このように稀な蛾も含まれていて,北本市内の谷津が非常によい自然状態を保ったままで存在していることの裏付けとなっている.
アミメカゲロウ類14種,シリアゲムシ類1種が牧林功により記録された.このうちラクダ厶シとヒメカマキリモドキの記録が貴重である.前種はアカマツ林で生息するもので県内での記録は少なく,後述するハルゼミと共に貴重な存在といえよう.後種はコマチグモの卵囊に寄生するものとして,豊かで多様性に富んだ雑木林を象徴する存在といえるものである.
半翅類はカメムシ目104種,ヨコバイ目92種が碓井徹により記録できた.この調査で明らかになった北本の半翅類の特徴は水生,半水生の半翅類が豊富なことである.関東地方では他にあまり生息地がないコバン厶シやミヤケミズムシが蓮沼に生息すること.環境庁指定の希少種であるエサキアメンボとババアメンボのほか,冷涼な水域にしか生息しないヤスマツアメンボなどが,湧水やそれに続く小川や湿地に生息することである.また県内平野部でまったく記録のなかったオオアメンボが,高尾に生息することも特筆に値しよう. さらに大宮台地ではまったく姿を消してしまったハルゼミが,市内2ヶ所のアカマツ林で生息していることも書き留めておかなければならない.
直翅系昆虫は内田正吉により5目16科59種が記録された.石戸宿の湿地にはコバネササキリ,エゾスズ,ヤチスズ,キンヒバリ,トゲヒシバッタなどが生息していて,埼玉県の平野部としては貴重な存在といえる.雑木林にはヤマトゴキブリやササキリ,ヤマトヒバリが,林床に営巣しているトビイロシワアリの巣にはアリズカコオロギが生息している.またエゾツユムシやヒメクサキリが生息していることも,平地としては珍しいことである.まだ微かに生息しているクツワムシと共に豊かなバッタ目相を呈している.
トンボ類は碓井徹により9科52種が記録された(他に3種の記録がある).埼玉県からこれまで90種ほどが記録されているが平野部で52種が記録されたことは,この地がトンボの生息環境としてすぐれているからである.碓井はそのことについて次のように解説する.市の西部を水量も多く流速もある荒川本流が流れ,岸辺には水深も浅い止水域が点在するので,上流部からヤゴが流下することも多い.このため流水性のオナガサナエ,ダビドサナエ,オジロサナエなどのサナエトンボ類やハグロトンボなどの生活の場になっている.また旧流路が作り出した蓮沼などの池沼はベニイトトンボ,オオモノサシトンボ,チョウトンボをはじめとする起源の古い池沼に住む止水性のトンボの生息地になっている.また湧水とそれに端を発する小川や谷津のひろがりには,アオヤンマやサラサヤンマなどの湿地環境に固有なトンボ類が生息する.このように多様な水域環境が豊かなトンボ相を育んでいて,西部地域は都市近郊に残された「トンボの楽園」と呼ぶにふさわしい地域になっている.
水生昆虫は7目114種が大熊光治により記録された.そのうちカゲロウ目は28種である.なかでも荒川の上中流域に生息するナミフタオカゲロウ,マエグロヒメフタオカゲロウ,ウエノヒラタカゲロウ,キイロヒラタカゲロウ,キブネタニガワカゲロウ,ヒメヒラタカゲロウ,コスタニアマダラカゲロウ,クロマダラカゲロウが北本市域まで荒川を流下している.カワゲラ目は3種類.そのうち(フタトゲ)オナシカワゲラは湧水の砂泥土や枯葉の間で生活するもので,この種の生息は北本の豊富な湧水群を裏付けている.トビケラは9種記録された.このうちチャバネヒゲナガカワトビケラは普通,上中流域に生息するもので,市域の荒川のような下流域に生息していることは珍しい.また蓮沼にはセグロトビケラが生息するが平野部の池沼に生息していることは貴重であり,蓮沼に生活汚染物質や農薬等が入り込んでいないからであろう.
クモ類は17科91種が記録された.調査した平松毅久によれば北本は台地で環境にさほどの変化がないため,やや多様性にかける傾向が見られるとしながらも,採集例の少ないマツモトオチバカニグモ,従来山地に多いとされてきたクリチャササグモが記録されたことは特記すべきことで,湿地や水田に多いヨツボシヒメアシナガグモ,アゴブトグモの両種の生息はこの地のクモ相の特色だという.オオトリノフンダマシ,シロカネイソウロウグモ,ハラダカツクネグモという南方系種が記録されたことは特筆すべきことで,このうちハラダカツクネグモは埼玉県初記録である.これら南方系の種の北上は最近全国的に指摘されていることで,ムラサキシジミやクロコノマチョウなどの蝶類でも観察されるところである.
多足類は32種1亜種が記録された.この記録は山地や丘陵地を欠き,台地と低地からなる北本では当然の結果だと桑原幸夫は指摘している.しかし,得られたなかに種名未確定のもの5種があるがいずれも新種の可能性があるという.まだアブクマヒトフシムカデ,ヒメヨロイヤスデは埼玉県初記録であり,前種は茨城県高萩市を基産地として1991年に新種として記載されたばかりの種であり,北本市が2番目の生息地となる.後種は愛媛県を基産地とする種で現在まで台湾,山口県,東京都が産地として知られているので,北限の記録となる.スジイシムカデは平野部の雑木林に生息する稀産種で,狭山市,浦和市,戸田市につづく産地となり,ヨコジムカデは1974年の大滝村での記録以来18年ぶりの採集記録だという.キヨスミベニジムカデは埼玉県ではもっとも標高の低い記録地となったものだし,タカナガスジムカデは南方系の種で個体数の少ないもの,ハガヤスデ,オオギヤスデの2種は浦和,戸田につづく県内3番目の産地で共に今のところ県内で大宮台地だけに限られる種で,分布上興味深い.
貝類は川名美佐男により28種が記録できた.特筆すべきことは高尾地区の氷川神社裏山にヒカリギセルが多産することとナミコギセルが確認されたこと.ニッポンマイマイが高尾地区から記録できたことなどである.しかし地形地質的にみて良好な石戸宿や高尾などは,廃棄物による埋め立てなどから汚染物質が流入したようで,水賣の悪化が感じられ期待したような陸産貝類は得られなかった.また荒川河川敷にある蓮沼でも水質の汚染があるようで,ヒメタニシが多いだけで他の貝類は極めて少ないという.生物への影響は水系にもっとも早くあらわれるものであり,ひ弱で小さなものほど早く影響を受ける.したがって貝類の調査結果は全体の動植物相に対する警鐘になろう.
植物については卜沢美久が第3章冒頭に記したように,コケ植物1種,シダ植物39種,種子植物642種,合計682種を記録した.このなかに,ミクリ,タコノアシ,ノジトラノオ,ミゾコウジュの危急種4種が含まれる他,多くの珍しい植物が生育していることがわかった.これらは表2を参照されたい.
表2. 北本に生息・自生していることが貴重であると考えられる動植物
*種名を□で囲った種は環境庁RDBの危急種を示し,の種は環境庁RDBの希少種を示す.
北本市域の動植物の今回の調査では脊椎動物220種,無脊椎動物1986種(うち昆虫綱1815種)を記録しえた.内訳は表1のようになる.植物はコケ植物1種,シダ植物39種,種子植物642種の合計682種を記録した.
哺乳類は斉藤貴により13種が記録された.これは埼玉県産の26%にあたる.児玉町の20種,寄居町の19種には及ばないが戸田市の8種を越えており,この数字がこれら市や町とのおおよその環境の良悪の目安となるようで面白い.特にホンドタヌキは環境庁が一旦は絶滅地に認定しただけに,目撃や足跡を確認したほか死体3頭を確認できたことは大きな収穫であった.またホンドキツネも僅かながら生息していることが確認できた.
鳥類は島田勉により163種が記録された.埼玉県産の53.1%を占める.この数字は児玉町の115種,寄居町の112種を大きく越しており,その分よく調査された地域だと評価ができる.おそらくここに記録した種以外の鳥が目撃される確率は非常に少ないであろう.環境庁指定の危急種オオタカ,ハヤブサ,同じく希少種のチュウサギ,トモエガモ,ハチクマ,ハイタカ,オオジシギ,コアジサシ,シラコバト,コジュリンが確認できたことは島田も指摘するように,北本市に良好な自然環境が残されているからである.島田によれば近年は都市化による環境の変化が大きく,かつての普通種が希少種に,逆に希少種だったものが普通種に,繁殖鳥が非繁殖鳥に,その逆に非繁殖鳥が繁殖鳥へ,冬鳥だったものが留鳥化するなど鳥相の変化も大きいという.これからもますますこの傾向は強まっていくものであろう.したがって継続して観察することが望まれる.
爬虫類10種,両生類7種が関口いづみにより記録された.爬虫類ではニホンヤモリとマムシの記録が重要である.両種とも市域ではすでに絶滅したものと考えられていたが,僅かながらまだ生息し続けていたことがわかった.ニホンヤモリは北本中学校で,マムシは石戸宿でそれぞれ発見されたものである.ニホンヤモリは家屋周辺に生息する種で,日本の伝統的な家屋と生活様式が残っていて,ニホンヤモリの生活場所と食餌となる昆虫類が見つけやすい環境が存在することがうかがえる.またマムシの生息は関口も指摘するように,荒川に近い石戸宿地域に生物相の豊かな自然が残されているからである.
明治45(1912)年に編まれた石戸村郷土誌によると,スッポンの生息が記録されているが今回の調査で記録できず,北本市から完全に絶滅したと考える.逆に北アメリカ南部原産のミシシッピーアカミミガメが蓮沼に多い.これは近年ペットとして飼われていたものが逃げたり,捨てられたりしたものが野生化したもので,都市を中心とした全国的な現象である.しかも在来種を圧迫して駆遂する危険があるのでこのような行為は慎みたい.
両生類では生息しているであろうツチガエルが今回は記録できなかった.個体群が小さくなり,かなり危機的状況にあるのではないかと思われる.完全に絶滅したと思われるのはイモリで,北本市史第3巻上によれば,昭和の初期まで見られたとしている.おそらく戦後の急速な開発と農薬の使用により絶滅したと考える.
魚類は金澤光により27種が記録された.うち在来種は18種,公的機関が移植したもの3種,放流種苗に混入したものや釣りマニアが放流したであろうもの6種である.荒川水系には61種が生息しているが,その半数弱が北本に生息している.その中で希少なものはヤリタナゴとホトケドジョウである.ヤリタナゴは赤堀川から記録されたが産卵するマツカサガイ,イシガイ等の二枚貝が確認されていないことから,金澤光は繁殖再生産はしていないと見ている.一方,ホトケドジョウは湧水の細流に細々と生息している.ホトケドジョウの生息も風前の灯といったところで是非保護したい.また以前は生息していたスナヤツメ,ギバチはおそらく絶滅したものと思われる.
このような在来種の景気のよくない話の反面,ブルーギルとオオクチバスは確実に個体数を増加させている.この両種は小魚を食餌とし,旺盛な繁殖力をもつもので,これらのばっこは在来小型魚や大型魚の幼魚を襲うもので,北本市内水系の生態系を乱し単調にするものとして,除去することが望ましい.また移入魚であっても草食魚であるカムルチーは池沼と産卵床であるマコモ等の抽水植物帯の減少で,個体数が減少していると金澤は指摘している.
ハエ類は原勝司により14科70種が記録され,大熊光治は水生のもの5科11種を記録した.牧林功はそれを補遺し21科91種を追加した.重複する種が23種あるので,北本市産ハエ目は149種が記録されたわけである.ハエ目ではショージツルギアブを新種として記載するとき,石戸宿で採集された標本が副模式標本とし使われた.また♀だけしか採集されていないため,とりあえずタイワンハラボソツリアブとしたが,♂が採集されればあるいは新種,という可能性を秘めている.ハナアブ科のまだ和名もついていないブラティケイルス・ペンニペスは埼玉県初記録のものであるし,ハナナガモモブトハナアブのような珍しい種やオオズクロスジハリバエのような種が平地に産することに驚かされる.少なくとも北本には貴重な野生が存在することにまちがいない.
表1 動物の分類別群別生息種数比較
| 埼玉県 1978 | 久喜市 1989 | 寄居町 1981 | 戸田市 1989 | 児玉町 1993 | 北本市 (今回) | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 脊椎動物 | 哺乳網 | 50 | 19 | 8 | 20 | 13 | |
| 鳥 網 | 258 | 97 | 112 | 135 | 115 | 163 | |
| 爬虫網 | 11 | 11 | 10 | ||||
| 両生網 | 16 | 10 | 7 | ||||
| 魚 類 | 71 | 29 | 34 | 17 | 27 | ||
| 昆虫綱 | |||||||
| ノミ目 | 4 | ||||||
| ハエ目 | 532 | 312 | 62 | 138 | 149 | ||
| ネジレバネ目 | 3 | ||||||
| 甲虫目 | 1135 | 203 | 513 | 219 | 249 | 626 | |
| チョウ目 | |||||||
| チョウ類 | 120 | 43 | 73 | 37 | 65 | 60 | |
| ガ類 | 1402 | 241 | 389 | 158 | 502 | 455 | |
| トビケラ目 | 40 | 5 | 22 | 7 | |||
| シリアゲムシ目 | 1 | ||||||
| 脈翅類 | 1 | 14 | |||||
| カメムシ目 | 322 | 198 | 184 | 267 | 195 | 196 | |
| ゴキブリ目 | 3 | 1 | 3 | 50 | 1 | ||
| カマキリ目 | 5 | 2 | 5 | ||||
| ガロアムシ目 | 4 | ||||||
| バッタ目 | 78 | 29 | 57 | 51 | |||
| ナナフシ目 | 3 | 1 | 2 | 1 | |||
| ハサミムシ目 | 2 | ||||||
| トンボ目 | 84 | 26 | 43 | 31 | 52 | ||
| カワゲラ目 | 32 | 8 | 3 | ||||
| カゲロウ目 | 49 | 5 | 33 | 28 | |||
| 無翅昆虫 | 39 | ||||||
| 倍脚網 | 49 | 7 | 10 | 14 | 10 | ||
| 結合綱 | 1 | 1 | 2 | ||||
| 唇脚網 | 41 | 10 | 13 | 25 | 20 | ||
| 少脚綱 | 1 | ||||||
| 蛛形綱 | 258 | 130 | 185 | 91 | |||
| ササラダニ類 | 32 | ||||||
| 甲殻網 | 22 | 34 | 14 | ||||
| 軟体動物 | |||||||
| 腹足綱 | 111 | 33 | 16 | 25 | 33 | 25 | |
| 双殻綱 | 7 | 3 | 2 | 1 | 3 | ||
| 環形動物綱 | 1 | 6 | 3 | ||||
| 扁形動物綱 | 1 | 2 | |||||
| その他 | 1 | 10 | |||||
| 合 計 | 5190 | 1017 | 2409 | 1206 | 1829 | 2216 | |
注目すべき種はヒロズハヤバチでこれは埼玉県初記録.この種が記録されたことにより,日本産ハヤバチ属5種のすべてが埼玉県内に産することがわかった.またキイロカドフシアリ,モリシタカギバラアリも埼玉県初記録種である.特筆すべきことはマルハナバチの日本未記録種が採集されたことである.おそらく温室トマトの結実をよくするためにヨーロッパから輸入したものが,逃亡して居ついているのではないかと南部は指摘している.
甲虫類は牧林功により626種が記録された.この中には環境庁指定の危急種ホンシュウオオイチモンジシマゲンゴロウ,希少種セスジガムシのような国レベルの貴重な種が存在する.またサワダマメゲンゴロウも山地渓流性のもので,おそらく荒川の増水などで流下してきたものであろうが,平地としては極めて珍しい. ゴマフガムシ,ニセツマキミズギワゴミムシ,ヒョウゴミズギワゴミムシ,ルリボシカミキリ,クモガタケシカミキリ,エゴヒゲナガゾウムシのような少ない種や山地性で平地での生息としては珍しい種もいる.
チョウ類は牧林が60種を記録した.近年の大宮台地の開発はすさまじく,蝶の種数が激滅している.しかるに60種という数字は1960年代までに記録した大宮市の種数の62種とほぼ同様である.このことは北本市の自然環境が1960年頃の大宮市とほぼ同様の状態にあるとみてよい.1960年頃というのは燃料革命の時代で,日本における暖房その他の燃料が薪炭から化石燃料に置きかわった時代である.平地の種数として60種は誇ってよい数である.しかし,いくらかの種では生息基盤が揺るぎ絶滅寸前というものもある.あえて北本市独自の評価をしたが,それは絶滅危惧種としてミヤマセセリ,ホソバセセリ,コツバメ,コジャノメを,危急種としてミヤマチャバネセセリ,ウラナミアカシジミ,オオミドリシジミ,ジャノメチョウを位置づけた. ただクロシジミは完全に姿を消したのでこの機会に北本市での絶滅宣言をした.
蛾類は455種の生息が故・市川和夫と萩原昇により確認できた.蛾類による環境評価として使われるシャクガ指数は47.7で主な調査地とした北本市石戸宿は「樹木の多いかなり良好な自然環境」を示している.その雑木林性の注目すべき種はフシキキシタバで関東地方では県内の久喜市,および川島町と北本市のみで記録されているものである.シタバガの仲間は大型の美しい蛾であるが,フシキキシタバのほかコシロシタバ,マメキシタバ,キシタバ,ジョナスキシタバが多産することもあげておいてよいであろう.
しかし何といっても特徴がよくあらわれているのは湿地性の蛾であって,ヨシットガ,ニカメイガモドキ,シロットガ,ツマグロヨトウ,ノヒラキヨトウ,テンオビョトウ,マエホショトウなど県内で採集記録の少ない種が生息するとともに,利根川中流部の沼沢地(群馬県板倉町),茨城県の菅生沼,新潟県曽根の水田地帯にのみ生息するイチモジヒメヨトウ,前記菅生沼と所沢市三ヶ島,久喜市青毛のみから知られているハスオビアツバが石戸宿に生息することである.多数の湿地性の蛾のなかには,このように稀な蛾も含まれていて,北本市内の谷津が非常によい自然状態を保ったままで存在していることの裏付けとなっている.
アミメカゲロウ類14種,シリアゲムシ類1種が牧林功により記録された.このうちラクダ厶シとヒメカマキリモドキの記録が貴重である.前種はアカマツ林で生息するもので県内での記録は少なく,後述するハルゼミと共に貴重な存在といえよう.後種はコマチグモの卵囊に寄生するものとして,豊かで多様性に富んだ雑木林を象徴する存在といえるものである.
半翅類はカメムシ目104種,ヨコバイ目92種が碓井徹により記録できた.この調査で明らかになった北本の半翅類の特徴は水生,半水生の半翅類が豊富なことである.関東地方では他にあまり生息地がないコバン厶シやミヤケミズムシが蓮沼に生息すること.環境庁指定の希少種であるエサキアメンボとババアメンボのほか,冷涼な水域にしか生息しないヤスマツアメンボなどが,湧水やそれに続く小川や湿地に生息することである.また県内平野部でまったく記録のなかったオオアメンボが,高尾に生息することも特筆に値しよう. さらに大宮台地ではまったく姿を消してしまったハルゼミが,市内2ヶ所のアカマツ林で生息していることも書き留めておかなければならない.
直翅系昆虫は内田正吉により5目16科59種が記録された.石戸宿の湿地にはコバネササキリ,エゾスズ,ヤチスズ,キンヒバリ,トゲヒシバッタなどが生息していて,埼玉県の平野部としては貴重な存在といえる.雑木林にはヤマトゴキブリやササキリ,ヤマトヒバリが,林床に営巣しているトビイロシワアリの巣にはアリズカコオロギが生息している.またエゾツユムシやヒメクサキリが生息していることも,平地としては珍しいことである.まだ微かに生息しているクツワムシと共に豊かなバッタ目相を呈している.
トンボ類は碓井徹により9科52種が記録された(他に3種の記録がある).埼玉県からこれまで90種ほどが記録されているが平野部で52種が記録されたことは,この地がトンボの生息環境としてすぐれているからである.碓井はそのことについて次のように解説する.市の西部を水量も多く流速もある荒川本流が流れ,岸辺には水深も浅い止水域が点在するので,上流部からヤゴが流下することも多い.このため流水性のオナガサナエ,ダビドサナエ,オジロサナエなどのサナエトンボ類やハグロトンボなどの生活の場になっている.また旧流路が作り出した蓮沼などの池沼はベニイトトンボ,オオモノサシトンボ,チョウトンボをはじめとする起源の古い池沼に住む止水性のトンボの生息地になっている.また湧水とそれに端を発する小川や谷津のひろがりには,アオヤンマやサラサヤンマなどの湿地環境に固有なトンボ類が生息する.このように多様な水域環境が豊かなトンボ相を育んでいて,西部地域は都市近郊に残された「トンボの楽園」と呼ぶにふさわしい地域になっている.
水生昆虫は7目114種が大熊光治により記録された.そのうちカゲロウ目は28種である.なかでも荒川の上中流域に生息するナミフタオカゲロウ,マエグロヒメフタオカゲロウ,ウエノヒラタカゲロウ,キイロヒラタカゲロウ,キブネタニガワカゲロウ,ヒメヒラタカゲロウ,コスタニアマダラカゲロウ,クロマダラカゲロウが北本市域まで荒川を流下している.カワゲラ目は3種類.そのうち(フタトゲ)オナシカワゲラは湧水の砂泥土や枯葉の間で生活するもので,この種の生息は北本の豊富な湧水群を裏付けている.トビケラは9種記録された.このうちチャバネヒゲナガカワトビケラは普通,上中流域に生息するもので,市域の荒川のような下流域に生息していることは珍しい.また蓮沼にはセグロトビケラが生息するが平野部の池沼に生息していることは貴重であり,蓮沼に生活汚染物質や農薬等が入り込んでいないからであろう.
クモ類は17科91種が記録された.調査した平松毅久によれば北本は台地で環境にさほどの変化がないため,やや多様性にかける傾向が見られるとしながらも,採集例の少ないマツモトオチバカニグモ,従来山地に多いとされてきたクリチャササグモが記録されたことは特記すべきことで,湿地や水田に多いヨツボシヒメアシナガグモ,アゴブトグモの両種の生息はこの地のクモ相の特色だという.オオトリノフンダマシ,シロカネイソウロウグモ,ハラダカツクネグモという南方系種が記録されたことは特筆すべきことで,このうちハラダカツクネグモは埼玉県初記録である.これら南方系の種の北上は最近全国的に指摘されていることで,ムラサキシジミやクロコノマチョウなどの蝶類でも観察されるところである.
多足類は32種1亜種が記録された.この記録は山地や丘陵地を欠き,台地と低地からなる北本では当然の結果だと桑原幸夫は指摘している.しかし,得られたなかに種名未確定のもの5種があるがいずれも新種の可能性があるという.まだアブクマヒトフシムカデ,ヒメヨロイヤスデは埼玉県初記録であり,前種は茨城県高萩市を基産地として1991年に新種として記載されたばかりの種であり,北本市が2番目の生息地となる.後種は愛媛県を基産地とする種で現在まで台湾,山口県,東京都が産地として知られているので,北限の記録となる.スジイシムカデは平野部の雑木林に生息する稀産種で,狭山市,浦和市,戸田市につづく産地となり,ヨコジムカデは1974年の大滝村での記録以来18年ぶりの採集記録だという.キヨスミベニジムカデは埼玉県ではもっとも標高の低い記録地となったものだし,タカナガスジムカデは南方系の種で個体数の少ないもの,ハガヤスデ,オオギヤスデの2種は浦和,戸田につづく県内3番目の産地で共に今のところ県内で大宮台地だけに限られる種で,分布上興味深い.
貝類は川名美佐男により28種が記録できた.特筆すべきことは高尾地区の氷川神社裏山にヒカリギセルが多産することとナミコギセルが確認されたこと.ニッポンマイマイが高尾地区から記録できたことなどである.しかし地形地質的にみて良好な石戸宿や高尾などは,廃棄物による埋め立てなどから汚染物質が流入したようで,水賣の悪化が感じられ期待したような陸産貝類は得られなかった.また荒川河川敷にある蓮沼でも水質の汚染があるようで,ヒメタニシが多いだけで他の貝類は極めて少ないという.生物への影響は水系にもっとも早くあらわれるものであり,ひ弱で小さなものほど早く影響を受ける.したがって貝類の調査結果は全体の動植物相に対する警鐘になろう.
植物については卜沢美久が第3章冒頭に記したように,コケ植物1種,シダ植物39種,種子植物642種,合計682種を記録した.このなかに,ミクリ,タコノアシ,ノジトラノオ,ミゾコウジュの危急種4種が含まれる他,多くの珍しい植物が生育していることがわかった.これらは表2を参照されたい.
表2. 北本に生息・自生していることが貴重であると考えられる動植物
*種名を□で囲った種は環境庁RDBの危急種を示し,の種は環境庁RDBの希少種を示す.
| [科 名] | 種 名 | 記 事 |
|---|---|---|
| 哺乳類 | ||
| [ネズミ目] | ||
| ネズミ科 | ホンシュウカヤネズミ | 開発により生息地が狭められている |
| [ネコ目] | ||
| イヌ科 | ホンドタヌキ | 環境庁の第2回自然環境保全基礎調査で北本付近は絶滅地とされたが 今回の調査で生息していることがわかった. |
| ホンドキツネ | 10年前と比較するとずいぶん少ない | |
| 烏類 | ||
| [コウノトリ目] | ||
| サギ科 | チュウサギ | 多くない |
| [ガンカモ目] | ||
| ガンカモ科 | トモエガモ | 1992.12.19に観察されただけ |
| [ワシタカ目] | ||
| ワシタカ科 | ハチクマ | サシバに比べてずっと少ないが稀ではない |
| オオタカ | 今後繁殖の期待もある | |
| ハイタカ | 観察例は大変少ない | |
| ハヤブサ科 | ハヤブサ | 北本市においては稀な鳥 |
| [チドリ目] | ||
| シギ科 | オオジシキ | 谷津田で一羽観察されただけ |
| カモメ科 | コアジサシ | 飛翔中の目撃記録がわずかにあるだけ |
| [ハト目] | ||
| ハト科 | シラコバト | 近年増えている |
| [スズメ目] | ||
| ホオジロ科 | コジュリン | 少数が観察されただけ |
| 爬虫類 | ||
| [トカゲ目] | ||
| ヤモリ科 | ニホンヤモリ | 北本市内での報告は1事例のみだが生息の可能性は高い |
| ニホントカゲ | 激減が心配されている | |
| クサリヘビ科 | ニホンマムシ | 市内で数年ぶりに発見 |
| 両生類 | ||
| [カエル目] | ||
| アオガエル科 | シュレーゲルアオガエル | 声が美しく石戸宿では大合唱がこだまする |
| 魚 類 | ||
| [コイ目] | ||
| コイ科 | ヤリタナゴ | 稚魚を確認することはできなかった |
| ハゼ科 | チチブ | 別名ダボハゼ荒川で稀に採捕される |
| ドジョウ科 | ホトケドジョウ | 激減している |
| [メダカ目] | ||
| メダカ科 | メダカ | 水質汚濁で県南では減少してきている |
| 昆虫類 | ||
| [ハエ目] | ||
| ミズアブ科 | キイロコウカアブ | 平地に産することは珍しい |
| ツリアブ科 | タイワンハラボソツリアブ | 石戸宿で2♀が得られているが極めて珍しい おそらく未記載種. |
| ツルギアブ科 | ショージツルギアブ | 石戸宿産のものが副模式標本となる |
| ハナアブ科 | Platycheirus pennipes Ohara | 埼玉県初記録 |
| ナガズヤセバ工科 | モンキアシナガヤセバエ | 埼玉県動物誌に記録なし |
| ヤドリバ工科 | Exorista (? aureifrons) オオズクロスジハリバエ Sumpigaster sumatrensis | aureifronsであれば本招初記録 山地性で低地に生息するのは珍しい 本州唯一の産地か |
| [ハチ目] | ||
| アリ科 | モリシタカギバラアリ | 埼玉県初記録 |
| キイロカドフシアリ | 埼玉県初記録 | |
| アナバチ科 | ヒロヅ八ヤバチ | 埼玉県初記録 |
| ミツバチ科 | マルハナバチの1種 | 日本未記録種.おそらく人為的移入による帰化 |
| [チョウ目] | ||
| セセリチョウ科 | ミヤマセセリ | 北本市の絶滅危惧種 |
| ホソバセセリ | 北本市の絶滅危惧種 | |
| ミヤマチャバネセセリ | 北本市の危急種 | |
| シロチョウ科 | ツマグロキチョウ | 北本市には夏型の記録がない |
| シジミチョウ科 | コツバメ | 北本市の絶滅危惧種 |
| オオミドリシジミ | 北本市の危急種 | |
| ウラナミアカシジミ | 北本市の絶滅危惧種 | |
| ジャノメチョウ科 | コジャノメ | 北本市の絶滅危惧種 |
| メイガ科 | ヨシツトガ | 湿地性の蛾で県内での記録は少ない |
| ニカメイガモドキ | 湿地性の蛾で県内での記録は少ない | |
| シロツトガ | 湿地性の蛾で県内での記録は少ない | |
| ドクガ科 | ゴマフリドクガ | 暖地性の種で 北限に近い記録となる |
| ヤガ科 | オオタバコヤガ | 暖地性の種で 北限に近い記録 |
| ツマグロキヨトウ | 暖地性の種で 県内での記録は少ない | |
| ウラギンキヨトウ | 暖地性の種で 北限に近い記録 | |
| ノヒラキヨトウ | 暖地性の種で 県内での記録は少ない | |
| イチモンジヒメヨトウ | 石戸宿のほかは群馬新潟茨城各県にそれぞれ1ヶ所ずつ産地があるのみ | |
| テンオビヨトウ | 暖地性の種で 県内での記録は少ない | |
| ハスモンヨトウ | 暖地性の種で 北限に近い記録 | |
| マエホショトウ | 暖地性の種で 県内での記録は少ない | |
| ホシコヤガ | 暖地性の種で 北限に近い記録 | |
| ヒメシロテンコヤガ | 暖地性の種で 北限に近い記録 | |
| フシキキシタバ | 県内では久喜市川島町と北本市のみ | |
| ハスオビアツバ | 埼玉県所沢市三ヶ島久喜市青毛茨城県菅生沼につづく 4番目の産地 | |
| [トビケラ目] | ||
| ヒケ・ナがカワトピケラ科 | チャバネヒゲナガカワトビケラ | 上中流流域に生息.北本市に生息するのは大変珍しい |
| エグリトビケラ科 | ゼグロトビケラ | 荒川中流域.激減.平野部生息は珍しい |
| [甲虫目] | ||
| ナガヒラタムシ科 | ナガヒラタムシ | 平地の記録としては珍しい |
| オサムシ科 | ニセツマキミズギワゴミムシ | 採集記録の少ない種 |
| ヒョウゴミズギワゴミムシ | 探集記録の少ない種 | |
| ヒラタマルゴミムシ | 稀な種 | |
| ナガマルガタゴミムシ | 平地の記録はなかった | |
| ニセクロゴモクムシ | 埼玉県初記録 | |
| ゲンゴロウ科 | ホンシュウオオイチモンジシマゲンゴロウ | 環境庁指定の危急種 |
| サワダマメゲンゴロウ | 荒川上流域.北本市での生息は大変珍しい | |
| セスジガムシ科 | セスジガムシ | 環境庁指定の希少種 |
| ゴマフガムシ科 | ゴマフガムシ | 比較的少ない種 |
| エンマムシ科 | ヒメエンマムシ | 県内平野部から記録なし |
| チビシデムシ科 | カントウコチビシデムシ | 北本市が基産地で記載された種 |
| シデムシ科 | モモブトシデムシ | 県内では山地のみで記録 |
| オニヒラタシデムシ | 県内では山地のみで記録 | |
| ハネカクシ科 | オサシデムシモドキ | 埼玉県新記録 |
| シャープメダカハネカクシ | 埼玉県新記録 | |
| ルイスメダカハネカクシ | 埼玉県新記録 | |
| クサビナガエハネカクシ | 埼玉県新記録 | |
| ホソガタナガハネカクシ | 埼玉県新記録 | |
| コブスジコガネ科 | ヒメコブスジコガネ | 県内では他に記録なし |
| コガネムシ科 | ホソケシマグソコガネ | 埼玉県動物誌に記録なし |
| タマムシ科 | タマムシ | 近年急速に減少してきた種 |
| クロナガタマムシ | 埼玉県新記録種 | |
| シロテンナガタマムシ | 埼玉県新記録 | |
| コメツキムシ科 | アカアシハナコメツキ | 埼玉県新記録種 |
| ジョウカイボン科 | ウスチャジョウカイ | 平地では珍しい。県動物誌に記録なし |
| クビアカジョウカイ | 平地では珍しい | |
| ベ二ボタル科 | クロハナボタル | 平地では貴重 |
| ヒシベ二ボタル | 埼玉県新記録 | |
| ホタル科 | ヘイケボタル | 急激に減少 |
| ケシキスイ科 | キイロチビハナケシキスイ | 本州初記録 |
| アシマガリヒラタケシキスイ | 埼玉県初記録種 | |
| テントウムシ科 | ヒメアカホシテントウ | 県西部丘陵地?の記録のみ |
| シロジュウシホシテントウ | 山地の記録のみ | |
| ヒメハナムシ科 | アカボシチビヒメハナムシ | 埼玉県新記録種 |
| チビヒメハナムシの一種 | 埼玉県新記録種 | |
| ヒメキノコムシ科 | マルヒメキノコムシ | 埼玉県初記録種 |
| ヒメマキムシ科 | クロオビケシマキムシ | 県内では本市のみで生息確認 |
| ホソカタムシ科 | ヒラタホソカタムシ | 埼玉県初記録 |
| ゴミムシダマシ科 | フタオビッヤゴミムシダマシ | 県内に記録なし |
| ヒメキマワリ | 埼玉県初記録 | |
| チビキカワムシ科 | クリイロチビキカワムシ | 埼玉県動物誌に科そのものが記録なし |
| ナガクチキムシ科 | モモキホソナガクチキ | 少ない種.埼玉県動物誌に記録なし |
| ハナノミ科 | クロハナノミ | 低標高地の記録は大変珍しい |
| ハナノミダマシ科 | クロフナガタハナノミ | 埼玉県新記録 |
| カミキリムシ科 | ヤツボシハナカミキリ | 低標高地で得られたのは貴重 |
| ルリボシカミキリ | 低地のクワの枯木に発生は珍しく貴重 | |
| ヒトオビアラゲカミキリ | 県内では奥秩父のみ | |
| クモガタケシカミキリ | 奥秩父のみ | |
| ハムシ科 | トラノオトビハムシ | 埼玉県初記録 |
| ゾウムシ科 | ツンプトクチブトゾウムシ | 少ない種.埼玉県動物誌に記録なし |
| イコマケシツチゾウムシ | 埼玉県初記録種 | |
| エゴシギゾウムシ | 少ない種.埼玉県動物誌に記録なし | |
| ギシギシクチブトサルゾウムシ | 埼玉県初記録 | |
| トゲハラヒラセクモゾウムシ | 埼玉県初記録種 | |
| ヒサゴクチカクシゾウムシ | 埼玉県初記録 | |
| [ラクダ厶シ目] | ||
| ラクダムシ科 | ラクダ厶シ | 埼玉県では大変珍しい |
| [アミメカゲロウ目] | ||
| カマキリモドキ科 | ヒメカマキリモドキ | 県内での産地は限られている |
| ツントンボ科 | ツノトンボ | 県内での産地は限られている |
| [カメムシ目] | ||
| ミズムシ科 | ミヤケミズムシ | 関東地方では分布は極めて局地的 |
| コバン厶シ科・ | コバン厶シ | 関東地方では分布は極めて局地的 |
| アメンボ科 | オオアメンボ | 埼玉県平野部では本市が唯一の生息地 |
| ババアメンボ | 環境庁RDB稀少種 | |
| ヤスマツアメンボ | 冷暗な湧水などに限って生息 | |
| エサキアメンボ | 環境庁RDB稀少種 | |
| [ヨコバイ目] | ||
| セミ科 | ハルゼミ | 埼玉県平野部では山地が限られている |
| [バッタ目] | ||
| キリギリス科 | クツワムシ | 県内では急速に減少 |
| ヒメクサキリ | 山地性の種で平地での記録は珍しい | |
| コオロギ科 | キンヒバリ | 石戸宿には多いか・生息地は限られている |
| エゾスズ | 県内平野部では産地が限られている | |
| [トンボ目] | ||
| イトトンボ科 | キイトトンボ | 都市近郊において急速に姿を消しつつある |
| ベニイトトンボ | 県内における確実な生息地は2、3カ所 | |
| モノサシトンボ科 | オオモノサシトンボ | 東部低地の限られた所で確認されていた. 飛び雕れた蒲沼の記録は驚き |
| サナエトンボ科 | ナゴヤサナエ | 捕獲による雌の産卵行励の確認はできていない |
| ダビドサナエ | 山間渓流部に生息する種.本市での確認は珍しい | |
| ヤンマ科 | サラサヤンマ | 湿地に生息する小型のヤンマ |
| アオヤンマ | 湿地、沼地の美しい種 | |
| ネアカヨシャンマ | 珍しい種と考えられていたが近年各地で確認されている | |
| マルタンヤンマ | 早朝、黄昏時に飛翔するので目に触れることが少ない | |
| トンボ科 | ヨツボシトンボ | ヤゴは石戸宿の限定された水域で確認・個体?数の急激な減少が感じられる |
| ヒメアカネ | 湿地環境への依存が高い種とみられ都市近郊では激減 | |
| チョウトンボ | 抽水植物が繁茂するところが本来の生息地だが成虫にはかなりの移動性があるらしい | |
| [カゲロウ目] | ||
| フタオカゲロウ科 | オオフタオカゲロウ | 北本市が荒川生息域の最下流域 |
| ナミフタオカゲロウ | 下流の北本市に生息するのは珍しい | |
| [カワゲラ目] | ||
| オナシカワゲラ科 | (フタトゲ)オナシカワゲラ | 県内では山地渓流に限られている |
| アミメカワゲラ科 | ヤマトアミメカワゲラモドキ | 北本市は最下流域 |
| クモ類 | ||
| [クモ目] | ||
| ヒメグモ科 | ハラダカックネグモ | 南方系クモの北上現象.県初記録 |
| ササグモ科 | クリチャササグモ | 従来山地に多い |
| カニグモ科 | マツモトオチバカニグモ | 1988年記載されたばかり・地上徘徊性で採集例が少ない |
| 多足類 | ||
| [イシムカデ目] | ||
| イシムカデ科 | アブクマヒトフシムカデ | 1991年に茨城商種記載されたばかり.県初記 |
| [ジムカデ目] | ||
| ツチムカデ科 | ョコジムカデ | 県内で18年ぶりの採集記録 |
| スミジムカデ属の一種 | 新種の可能性が大きい | |
| [オビヤスデ目] | ||
| ハガヤスデ科 | ハガヤスデ | 県内では大宮台地に限られる稀産種 |
| オオギャスデ | 大宮台地周辺以外に記録がない | |
| ヒメヨロイヤスデ | 埼玉県初記録種(分布の北限) | |
| ヨロイヤスデ属の一種 | 新種の可能性が高い | |
| 無脊椎動物 | ||
| [エビ目] | ||
| サワガニ科 | サワガニ | 清流に生息する。昭和10年代までは多く生息していたが今では絶滅寸前 |
| [ヨコエビ目] | ||
| キタヨコエビ科 | アゴトゲヨコエビ | 宮岡の湧水.埼玉県では北本市のみに生息 |
| 軟体動物 | ||
| [マイマイ目] | ||
| ベッコウマイマイ科 | カサキビガイ | 北本市では極めて稀産 |
| ナンバンマイマイ科 | ニッポンマイマイ | 北本市における分布は極めて特筆に値する |
| [異歯目】 | ||
| シジミ科 | マシジミ | 近年著しく減少.今回の調査では貝殻だけが得られた |
| 植物 | ||
| [コケ植物] | ||
| ウキゴケ科 | ウキゴケ | 湧水地にのみ見られるまれな植物 |
| [シダ植物] | ||
| ホウライシダ科 | ミズワラビ | 休耕田に時おり見られるが非常に少ない |
| オシダ科 | ホソバナライシダ | 一抹のみ.平野部では珍しい |
| [単子葉植物] | ||
| ミクリ科 | ミクリ | 環境庁RDB危急種 |
| イネ科 | エゾノサヤヌカグサ | 東北・北海道の植物で関東では珍しい |
| ムサシノササクサ | 武蔵野特有の植物 | |
| カヤツリグサ科 | ミズガヤツリ | 大群落を作るカヤツリグサでまれである |
| カンエンガヤツリ | 非常に珍しい種 | |
| タタラカンガレイ | 基産地の群馬県たたら沼と県内3ヶ所のみに生育 | |
| サトイモ科 | ウラシマソウ | 屋敷林や竹林にまれに見られる |
| イグサ科 | アオコウガイゼキショウ | まれなカヤツリグサである |
| ユリ科 | ヤマジノホトトギス | 平野部としては珍しい植物である |
| ヤマホトトギス | 平野部としては珍しい植物である | |
| ヤマユリ | 花が美しいので採取されて少ない | |
| カタクリ | 高尾地区1ヶ所のみ。平野部では珍しい | |
| ラン科 | キンラン | わずかに残っているまれな植物である |
| ギンラン | わずかに残っているまれな植物である | |
| ササバギンラン | わずかに残っているまれな植物である | |
| エビネ | 保護されている珍しい植物 | |
| シュンラン | わずかに残っている植物 | |
| [双子葉植物] | ||
| ドクダミ科 | ハンゲショウ | 平野部でまれな植物 |
| キンポウゲ科 | イチリンソウ | 竹林にわずかに残っているまれな植物 |
| サラシナショウマ | 平野部では珍しい植物 | |
| イヌショウマ | 平野部では珍しい植物 | |
| メギ科 | イカリソウ | 開発の危険がある。 |
| ケシ科 | ヤマエンゴサク | 一部残っている珍しい植物 |
| アブラナ科 | オランダガラシ | 湧水のところに自生するまれな植物 |
| ベンケイソウ科 | タコノアシ | 環境庁RDB危急種 |
| ユキノシタ科 | チダケサシ | 平野部では珍しい |
| バラ科 | ワレモコウ | 近年非常に平野部では珍しい植物 |
| エドヒガン | 平野部のサクラとして珍しい植物 | |
| マメ科 | クララ | 近年平野部では珍しい植物 |
| ツリフネソウ科 | キツリフネ | 平野部では極めて珍Lい植物 |
| ツリフネソウ | 湧水のある所にあり、珍しい植物 | |
| アカバナ科 | ヒシ | 池・沼が埋められて非常に少なくなった |
| メビシ | 県内でも非常に少ない植物 | |
| オニビシ | 県内でも非常に少ない植物 | |
| セリ科 | オオチドメ | 環境庁RDB希少種 |
| イチヤクソウ科 | イチヤクソウ | 平野部では非常に少なくなった植物 |
| サクラソウ科 | ノジトラノオ | 環境庁RDB危急種 |
| シソ科 | ミゾコウジュ | 環境庁RDB危急種 |
| ナス科 | ハダカホウズキ | 平野部で極めて珍しい植物 |
| ゴマノノ、グサ科 | オオアブノメ | 県内でも非常に少ない植物 |
| ハマウツボ科 | ナンバンギセル | 近年少なくなった |
| スイカズラ科 | ゴマギ | 荒川の河川敷特有の植物 |
| キク科 | タイアザミ | 近年非常に少なくなった |