北本市史 通史編 原始

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第2章 豊かな自然と共に

第1節 狩りと採取の縄文時代

縄文時代が始まった
およそー万年前、旧石器時代は終わりを告げ、縄文時代に移行した。気候が温暖となったことと、火山灰の降下が休止したことによって、大きく変化した生態系に対応するための変であった。気候の温暖化・列島化・火山灰降下の休止・植物相の変化・動物相の変化・土器の発明・弓矢の発明など個々には時間的前後はあるものの、様ざまな自然現象や文化事象が混然一体(こんぜんいったい)となって進行した大変革が、縄文時代の始まりであった。大陸と離れたということは、それまでの陸路のように徒歩という最も容易な方法では行き来することができなくなったということである。大陸からの新しい文化の波が届くのは途絶えがちになり、進歩の度合は大陸に遅れをとるが、そのかわり列島内で文化が釀成(じょうせい)され、独自の<縄文文化>が花開いたのである。
気候・植生の変化は、ナウマン象などの大型動物を絶やし、イノシシ・シカ・鳥類を増やした。林や森が生まれ、下草が生え、旧石器時代とは比較にならないほど豊かな自然の中で、旧石器時代から引き継いだ狩りの技術を駆使する一方、食事の内容は山野から採取した植物食が主体を占めるようになった。竪穴住居が一般化すると定住性が高まり、村を形成することもあった。一部の地域では半栽培も始まるが、縄文文化は狩りと採取を基本とし、ゆるやかな発展をたどったのである。

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