北本市史 資料編 原始

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北本市長新井 馨
北本市は「緑に囲まれた健康な文化都市」を理想の姿として求め続け、その実現のためにさまざまな努力をしてまいりました。そのようななか、石戸宿周辺が県営北本自然観察公園に決まったことは喜ばしいことと存じます。また、ふるさと創生事業のテーマが、「サクラと歴史の郷 北本」と決定したこともいにしえの北本をふりかえりつつその伝統を未来へ引き継ごうという気持ちのあらわれとご理解いただけるものと思います。
昭和五十三年度より推進してまいりました市史編さん事業も既に『近世資料編』『近代・現代資料編』『民俗編』の刊行をみております。今回ここに第三巻上『自然・原始資料編』、第三巻下『古代・中世資料編』が発刊されますことは誠にご同慶にたえません。
本市は大宮台地の最高海抜地域に展開し、その自然は地形・水・動植物など多くの面で変化と豊かさに富んでおります。湧水も多く、オオイチモンジシマゲンゴロウという希少種も採集されました。また蓮沼は農薬や生活排水の影響もなく自然環境のよい沼です。地形は起伏に富み、荒川(和田吉野川)の淸流があり、古くから人間が生活を営む好条件が整っておりました。宮岡遣跡・北袋遣跡・中井遣跡・八重塚古墳群の発掘調査や、高尾河岸から出土の独木舟などから先人が営んでいた生活の一端を知ることができます。
これらの遺物から先人の足跡を正しく理解し、さらには後世に引き継ぐことが私たちの大切な使命であります。本書により北本の歴史の解明と将来の本市の発展、市民文化の向上に資することができれば幸甚と存じます。
このような意味におきまして、本書が多くの方々に愛読され、活用されますことを期待するものであります。
終わりに本書の刊行にあたって、貴重な資料を快くご提供くださった方々、並びに数々の資料の調査・収集にご理解ご協力を賜わりました方々や関係諸機関の皆様に、心からお礼を申しあげて発刊のことばといたします。
特に、北本市史監修者としてご指導ご協力を賜わりました江袋文男先生が、編さん事業なかばにして去る八月に逝去されましたことは、誠に残念のきわみであります。市史編さん事業当初からのご苦労に対し心から感謝申しあげ、ご冥福をお祈り申しあげます。
  平成二年三月

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