北本市史 資料編 古代・中世

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第2章 中世の北本地域

第1節 鎌倉期の北本

建仁三年(一二〇三)十月十日
足立元春は、弓始射手への禄の伝達役を勤める。

76 吾妻鏡 建仁三年十月十日条
十日乙巳、昨日御弓始(1)射手十人、被召北面竹御壷、故賜禄(2)、或野剣一腰、或腹巻一領云々、東太郎、和田兵衛尉、足立八郎(3)等伝之
〔読み下し〕
76 十日乙巳、昨日の御弓始の射手(いて)十人、北面の竹の御壺に召され、故に禄を賜う、あるいは野剣一腰、あるいは腹巻一領と云々、東太郎(重胤)、和田兵衛(常盛)尉、足立八郎等これを伝う
〔注〕
(1)弓場始のこと 武家では、歳首または弓場新造の時等に、初めて弓射を試みた儀式。幕府では歳首の恒例行事となる。
(2)本来は律令制での官人への給与のことであるが、ここでは「被物」のことで、功を賞して労をねぎらうために賜う物
(3)足立元春 遠元の子で、嫡系である。後に左衛門尉に任官する。
〔解 説〕
本史料は、足立元春が弓始射手十人への禄の伝達役を勤めたものである。この弓始は、八日の新将軍源実朝元服式をうけて、翌日に行われたもので、将軍代替りに伴うものである。なお、元春の『吾妻鏡』における初見が本史料であり、この後、承久元年(一二一九)七月まで所見する。足立氏も遠元から新世代に入っていくのである。

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