北本市史 民俗編 民俗編一覧
第3章 農業と川漁
第6節 川漁と狩猟
1 川漁
(4) その他の漁法ヤスツキ
春四月から五月に舟で川に出てヤス(モリ)で、二~三メートルの深さの所にいるマルタ、ナマズ、コイ・フナ・サイなどを突いた。舟には二人でのり、一人がハコメガネ(箱眼鏡)で川の中を覗(のぞ)きヤスで突き、もう一人が舟を漕いだ。舟は川を漕いで上り、ザングイ(残杭)のある所など、魚がいるような場所にすぐに止めるのが難しかった。ヤスは先の突く針が幅五寸・長さ五寸ほどで、柄は六尺から一丈近いものまであった。ハコメガネは簞笥(たんす)屋に桐で作らせ、底の大きさは縦一ニ寸横八寸であった。その縁を口でくわえ、川底を覗いた。
ヤスツキなど漁に使われる舟は、セッショウブネ(殺生舟)と呼ばれ、幅が約三尺、長さ三間、深さ一尺ほどの舟であった。普通の川舟より細めであったという。
写真40 舟
写真41 ハコメガネ
写真42 ベンケイにさしたフナ