実録まちづくりにかける集団

北本この人 >> 実録まちづくりにかける集団

第2編 「わぁ、つくしんぼみたい、わたしのおうち」
   あそびの学校が歩んだ十三年

四 何にも勝る「体験」

ビニール袋でご飯炊けますか
飯盒や炊飯道具を使わず、ビニール袋でご飯が炊けるという情報を得た。きれいな水が少しと米、それにビニール袋があれば、泥水の中でも炊飯が可能だという。ちょうど阪神大震災の直後だったことから、早速とり入れることにした。情報はご飯が炊けるということだけだったことから、とりあえず実験である。どうやら沸騰したお湯の中に、米と水を詰めたビニール袋を入れ、煮立てればよいということのようだ。ただ、時間がどのくらいなのか、水と米の割合がどうかもわからない。
仕方がない、いくつもテストするしかない。ということでいく通りかの条件の米を準備し、お湯を沸かしてデータとりである。結局、米と水は同量、ビニール袋は薄手のもので、空気をしっかり抜けば、約二〇分でコゲの心配もない、おいしいご飯が炊きあがることがわかった。泥水でも炊けるというのは、外側がどうであっても、袋の中はきれいにできるということがわかり、これなら味噌汁と同時に、ご飯が炊けるという理屈だ。以後私たちの野外料理では、必ずビニール袋炊飯が加わることになった。
こうした一連の事業でわかるように、体験を通した学習は、そのまま知識と知恵を一人一人に植え付けていく。本を読んでも話を聞いても、実際のこととして、自分の身につけることは困難であり、簡単に理解するということがなかなか難しい。「百聞は一見にしかず」という古いことわざがあるが、まさにわれわれが行っている活動は「百見は一体験にしかず」である。体験は何にも勝る学習であることを強調しておきたい。

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