からから揺れき 秩父嶺

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秩父嶺

深浦の宿


懐かしさどこか漂ふ深浦の海も甍(いらか)も照れる水無月

北前船はこべる古伊万里展示室ひそと静まり往時を伝ふ

泊りたる太宰の食みし「ウロ」といふ鮑の肝知る深浦の宿

はまなすの盛りを見する小さき駅過ぐれば潮風ややに強まる

乗降の客まばらなり五能線車内の訛を好もしと聞く

廃屋の木下にひとむら半夏生浮きたつ白の眼に残りをり

半夏生「半化粧」にも通ずとふ片白なる葉に寄りて触れみき

根(こん)かぎり花びら開きて芙蓉咲く一日花と思へばいとほし

[音声でお聴きになれます]

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