からから揺れき 蝉しぐれ
蝉しぐれ
薪能
夕づける舞台浄むる神官の袂は風にふはりと白き
さはさはと揺るる若葉の御神木舞台に映えて注連清々し
薪能開演まぢかの緊張をほぐすがに鴉ふたこゑ啼けり
客席も舞台もひとつに融けあひて千二百人は咳(しはぶき)も無し
笛の音のひときは高し夕闇の変はる風向きはずる篝火(かがりび)
二本(ふたもと)の苗は育ちてミニトマト黄の花あまたに生垣を越ゆ
朝刊をこわきに抱へミニトマト朱の実七つ今日の収穫
ミニトマト五粒もあれば充分と夫は多くを要らぬ齢(よはひ)に
蝉しぐれ
薪能