からから揺れき 水の都
水の都
フランスの旅
遥かなるローマ時代に想ひ馳せアビニョン護りし城壁見上ぐ
戦ひの歴史も知らず幼き日「アビニョン橋」の歌に遊びき
うち続く葡萄畑の境木(さかひぎ)か糸杉高きブルゴーニュの地
陽に映ゆる彩色瓦の施療院手厚き看護の様を伝ふる
街角の店に並べるマスタ—ド「マイユ」なればと三つ程購ふ
アルプスを越ゆる道路と諾ひぬモンブラン見ゆ窓辺ま近に
由緒ある部屋にゆつたり貴婦人の心地に過ごす古城のホテル
珍らしと言はれ初めて口にする山羊のチーズの味に戸惑ふ
丘の上(へ)のドライ・ロックに馬車でゆく柳蘭咲く小道続けり
帰路となるミラノに購ふ皮財布一つは息子に一つは友に
十日間巡りし旅を語りつつ夫はボーヌのワインの夕餉