からから揺れき 鎮魂の歌碑
鎮魂の歌碑
海を背に
十米(メートル)嵩上げしたる津波あと福島の地に鎮魂の歌碑
津波跡公園となりて亡き人も共に座せるか東屋の椅子
この丘のこの公園に鎮魂の歌碑をと善意の輪は広がりぬ
漸くに除幕となりて集ひたる人らの面輪輝きてをり
再びの津波被害の無きことを祈りて除幕の紐強くひく
海を背に丘に建ちたる吾が歌碑の文字くきやかに水無月の風
記者よりの質問受けつつ歌碑の前恩ある人と共に並びぬ
黒き壁寄するが如きと大津波逃れたる人語りべのごと
はまばうふう幼き頃に食せりと語れるひとは友を津波に
津波にて逝きたる人の声ならむ歌碑建つ丘につよき海風
以上五二〇首