北本の文化財

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【宮内の稲荷石塔】

指定
市指定
種別
有形の民俗文化財
指定年月日
平成30年6月28日
所在地
宮内4-36

この稲荷石塔は、旧岩槻街道から宮内の氷川神社に向かう道の交差点付近にあり、交差点の北西に接する個人宅内に所在する。覆屋内に安置されていることから保存状態は極めて良好である。
頂部付近にはア、カーン、キャの梵字が刻まれている。銘は「天和三年癸亥/二月吉日/稲荷大明神」とあり、天和三年(1683)の造立である。
舟形光背形の塔身部には、神使である狐が陽刻で表現され、顔は丸みを帯び、口には蔵の鍵を咥えている。耳は小さく、目は線刻で表現される。左前脚を軽く挙げ、後ろ脚は曲げて腰を地面につけている。尻尾は毛並みを表現し、やや弧状に立てられた太刀尾状である。
また、石塔には四つの宝珠が表現されている。一つは狐の尻尾の先に、他の三つは高坏上に三弁宝珠として陽刻されている。台座には、唐草文が線刻される。
かつては二月の初午にあわせて、現在では3月に稲荷講が行われている。もともと大島家の所有であったとされ、大島本家(貝杓子・大島家文書所蔵)と東10地区を中心とする地元の講中(特に女性)が中心となって講を行っている。
この石塔は、特徴的な造形とともに江戸時代前期の造立であり、当時の稲荷信仰を語る資料として貴重である。

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