デーノタメ遺跡 調査の契機と経過

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第1章 調査の契機と経過

第2節 調査の経過

平成10年度の範囲確認調査は、遺跡の西側に位置する都市計画道路「西仲通線」及び西側街区の道路部分を対象に実施した。その結果、縄文時代中期の勝坂期~加曾利EⅠ期を主体とする集落跡が広汎に確認されたため、区画整理事業における埋蔵文化財への影響が大きく、遺跡の保存について協議が必要である旨を北本市長あてに通知した。
その後、北本市教育委員会と北本市において遺跡の保存を前提とする調整を行ったが、すでに「西仲通線」「南2号線」は都市計画決定の認可を、区画整理事業も施行認可の公告を受けており、計画を変更することは困難であると判断されたため、早期に発掘調査による記録保存の措置を講ずることとなった。
これにより、発掘調査及び出土品の整理については市遺跡調査会及び市教育委員会が実施することとなり、 第1次調査の面積は900㎡、調査期間は平成12年12月4日~平成13年3月21日と決定した。
なお、引き続き実施が計画された第2次調査は、遺跡内の樹林地でオオタカの営巣が確認されたため、久保土地区画整理事務所ではオオタカの生息調査を5年間にわたって実施し、第2次調査は平成17年度以降に繰り延べることとなった。平成17年度の第2次調査から平成19-20年度の第4次発掘調査及びその後の内容確認調査の経過については、以下の第1表にまとめたとおりである。
第1表 デーノタメ遺跡調査一覧
年度調査期間調査形態調査地点調査結果
平成10年度2.28~3.21範囲確認調査街区道路部分縄文時代中・後期の集落跡を確認
  1212.4~3.21第1次発掘調査西中通線(900㎡)勝坂期~加曾利EⅠ期等の住居跡7軒
  179.27~2.15第2次発掘調査西中通線(900㎡)勝坂期~加曾利EⅠ期等の住居跡15軒
  199.2~11.20第3次発掘調査西中通線(1,500㎡)加曾利EⅠ-EⅢ期の住居跡2軒
  19-202.14~6.30第4次発掘調査西中通線(170㎡)縄文時代中・後期の低湿地遺跡を調査
  208.4~8.7範囲確認調査調整池縄文時代中・後期の泥炭層を確認
  2411.13~12.5内容確認調査後期集落縄文時代中・後期の集落を確認
  2510.28~11.20内容確認調査中期集落縄文時代中・後期の集落を確認
  272.1~3.17内容確認調査中期集落縄文時代中期の集落規模・構造を確認
  286.7~7.17内容確認調査後期集落縄文時代後期の集落規模・構造を確認

(1) 地元では「デイノタメ」と発音する場合もある。湧水のことを「デスイ」または「デイ」ともいい、「出水の溜池」の意味であるか、北側に台原(デエッパラ)地区があり、「台原の溜池」の意味のいずれかであろう。
引用・参考文献
吉川國男 1972 「北本市の遺跡と遺物」『北本市の埋蔵文化財」北本市教育委員会
下村克彦 1990 「江川流域の遺跡」「北本市史第三巻上 自然・原始資料編』北本市教育委員会市史編さん室

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